経 済

TPI再建、債権者の手で

全体的な債務再構成過程を重視


 タイ・ペトロケミカル・インダストリー(TPI)の債権者会議は、再建プランを立案・実行する再建プランナーの選挙を行い、エフェクティブ・プランナー社をプランナーに任命した。エフェクティブ・プランナーはバンコク銀行とオーストラリアのコンサルティング会社、フェリア・ホジソンの合弁企業。

 債権者会議ではエフェクティブ・プランナーとTPIの傀儡であるTPIプランナーの一騎打ちとなった。TPIプランナーはTPIの経営陣と米会計事務所アースント・アンド・ヤングと組んで経営権維持を目指して設立した会社。

 TPI側は債権者のTPIプランナーへの資本参加を認めるなど譲歩を示して、TPIプランナー陣営への取り込みを図ったが、結局大口債権者を説得できなかった。TPIプランナーに投票した債権者は二百八十七で、エフェクティブ・プランナーに投票した債権者七十九よりも圧倒的に多かったが、結局債権額に占める割合で七三パーセントを獲得したエフェクティブ・プランナーに軍配が上がった。

 決定的だったのは、サイアムシティ銀行やクルンタイ銀行など、大口債権者である国営銀行がエフェクティブ・プランナーの支持に回ったことだ。これには、再建過程から元経営陣の影響力を取り除こうという大蔵省の意向が強く働いたとも言われている。開票後、プラチャイ・リヨウパイラットTPI社長はローレックスをはめた腕で不服そうに頬杖をつき、敗因について「政府による指示があったからだ」と語っている。

 今回の決定によってプラチャイ社長率いるTPI経営陣は、事実上支配力を失ったことになる。エフェクティブ・プランナー代表、アンソニー・ノーマン氏はTPIを(清算することなく)再建することに全力を注ぎ、従業員の雇用も維持する、と発表している。TPI側は主要資産を売却しないようにプランナーに要請していく方針。

 TPIがTPIプランナーを候補に立てた背景には、経営陣やオーナーに有利な再建プランナーを送り込むことにより、事実上の経営権を維持しようとする戦略があった。TPIは三十五億ドルの債務を抱えるタイ最大の債務企業ながら、産業界においては非常に大きな影響力を誇っている。TPIは債権者との交渉において、強硬な姿勢をとり続け、債務再構成交渉は難航を極めた。

 債務再構成交渉は昨年二月にいったん合意にいたったものの、その後TPIが増資計画を主張したため、債権者との交渉はふりだしに戻った。その後、債権者委員会の反対にもかかわらず、TPI側が強硬に増資を実施しようとしたことから、破産裁判所に提訴され、先月「債務超過」の判定を受けた。 

 仮にTPIプランナーが選任されていれば、企業の破産・更生プロセスに重大な抜け道が生じることになり、債権者の権利保護が形骸化する可能性もあった。TPI以外にも多くの債権を抱える商業銀行が、全体的な債務再構成プロセスを重視し、エフェクティブ・プランナーを選んだのは当然のこととも言える。




[BANGKOK SHUHO]