総 合

新熱望党 米国で経済顧問が逮捕

イランからの石油密輸容疑で


 米国西部の都市サンディエゴで、最大野党・新熱望党のスラサク・ナナヌクン最高経済顧問が、国連の制裁に反して、イラクから二千万ドル以上の原油を購入しようとしたとの容疑で逮捕された。スラサク容疑者はチャワリット政権下では、国務相を務めたこともある実力者だが、タイ人のアムナート・ウォラチャート、シンガポール人のサイモン・タンの二人とともに逮捕されている。

 新熱望党幹部が同事件を知ったのは、新事務所の開所式を執り行っていた三月二十四日。このため、お祭りムードは一変、党幹部は式典の後、急きょ対策会議を開くことになった。この後、チャトゥロン・チャイセン同党幹事長は、「この事件について情報を集めているところだ。もし、スラサク顧問に法律に反した行為があったのであれば、新熱望党としても責任を免れるわけにはゆかない」と述べた。

 米司法当局によれば、スラサク容疑者らは、サンディエゴで国際的な貿易会社の幹部と、イラク原油のタイへの輸出について最終的な商談を行うため渡米したとしている(イラクは現在、国連の経済制裁を受けており、国連の承認なしに原油を輸出することは禁止されている)。

 この事件に関連し、新熱望党のチャワリット・ヨンチャイユット党首は、スラサク顧問の逮捕は政治的な謀略の可能性があると指摘し、「状況から判断して、裏になにかがある。スラサク顧問は引っかけられたのだ。同顧問は被害者だ」と見方を示した。

 また同党のチャルム・ユーバムルン副党首も「スラサク顧問は、国際通貨基金を声高に批判し、国有企業や商業銀行を外国に売却するというタイ政府の方針にも強く反対していたため、米国にはめられたのだ」と指摘した。このほか、リキット・ティラウェキン副党首も「存在しない原油取引話に乗せられたのであり、スラサク顧問は存在しないものに対して代金を払ったことになる。これでは法律的に犯罪が構成しない」と述べて、同顧問を擁護した。

 一方、チュアン・リークパイ首相(民主党党首)は、一部野党議員の主張する政治的陰謀説については、「そのようなことはなにも知らない」と述べて、論外との姿勢を示した。首相によれば、タイ政府は、外国でタイ人が事件に巻き込まれた場合と同じように、スラサク容疑者が不利にならないよう努力していると発言するにとどまっている。

 この違法原油取引事件は、米国で起きたことから背景など詳しい状況がつかみにくいが、サノ・ティエントン前幹事長一派の離脱で党勢に影響が出ている新熱望党にとっては「弱り目に祟り目」とも言えよう。


[BANGKOK SHUHO]