経 済

地場銀行、体力回復へ

タイファーマーズは黒字転換も


 タイの商業銀行が長いトンネルを抜けて本格的な回復に向かい始めた。大手四銀行の見通しに明るさが見えてきたほか、外資に買収された銀行群も調整期を過ぎ、明確な戦略を打ち出している。また大手銀行と外資系銀行との間で好影響を与え合い、シナジー効果が生まれていることも指摘されている。ただ、資本再構成の遅れが指摘されている銀行もあり、見通しは快晴というわけではないようだ。

 米格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・サービスはタイ銀行業界の見通しを「安定」から「ポジティブ(良好)」に引き上げ、同時に大手四銀行(バンコク銀行、タイファーマーズ銀行、サイアムコマーシャル銀行、アユタヤ銀行)の格付けを見直し中であると発表した。

 現在、バンコク銀行とタイファーマーズ銀行の「経済的体力」は「E+」、サイアムコマーシャル銀行とアユタヤ銀行は「E」となっているが、各行の体力格付けは数週間以内に上方修正される見込みだ。

 ムーディーズによる格付けの引上げは、一九九七年以来続いた銀行システム危機がほぼ終焉を迎えたことを意味する。九七年の通貨危機を境にタイの銀行業界のランドスケープはすっかり変わってしまった。四銀行は外国銀行の傘下に入り、二行は国有化され再建途上となっている。バンコク銀行やタイファーマーズ銀行といった大手行ですら不良債権の重みに苦しみ、大規模な増資を強いられた。

 ムーディーズは、タイ銀行の資本強化はまだまだ十分とは言えないとしながらも、状況が改善していることは間違いないと判断した。ムーディーズはまたABNアムロ銀行の傘下にある中堅行、アジア銀行の劣後債券格付けを引き上げている。親銀行の強力なサポートを背景に、リスクが減少しているからだ。 

 別の有力格付け会社フィッチIBCAも地場銀行の経営状態が良好であるというレポートを発表している。フィッチは有力銀行の経営は順調に上向くと予測しており、特にタイファーマーズ銀行は黒字転換する可能性もあるという。しかしながら、バンコク銀行、アジア銀行といった優良行でもさらなる増資を必要とするだろうとしている。

 大蔵省・中央銀行がタイミリタリー銀行相手に続けている資本再構成交渉では、大蔵省が新規発行優先株の半分を引き受ける方向で話し合いが進んでいる。アユタヤ銀行に対しても公的資金の注入というかたちで大がかりなてこ入れが行われることになりそうだ。

 中堅銀行のタイミリタリー銀行およびアユタヤ銀行は体力が弱く、「タイ銀行システムのアキレス腱」ともいえる存在となっていた。二行は外資による買収はまぬがれたものの、自力での経営健全化は無理、との見方が有力だった。


[BANGKOK SHUHO]