バンコク 出稼ぎ象、デモ行進
「地方は仕事も餌もない」
バンコク都庁が今月十日より、都内を歩行する象の取り締まりを開始することに抗議して五日、象の飼い主三十五人が十三頭の象と共に、ラマ四世通りからパホンヨーチン通りまでデモ行進した。飼い主らは「地方では森林伐採の仕事が減り、餌も不足している。バンコクの路上で通行人に餌を売って象に食べさせる
〃出稼ぎ〃が禁止された場合、象の飼育が困難になる」と主張。象を地方へ追い返すだけでは問題の解決にならないと都庁を非難した。
飼い主らは行進の間、窮状を訴える広告を配布して都民の理解を求めた。隣接するアユタヤ県で十日から十二日にかけ象祭りが開催されるため、これらの象は六日夜にはアユタヤに向かったが、飼い主の代表は「また必ずバンコクに戻ってくる。次回は首相府前でデモを行うかもしれない」と語った。
バンコク都庁は九五年二月より、象が都内道路を歩行することを禁止している。バンコクやその近郊では、象が下水溝などにはまって負傷する事故がたびたび起きており、死亡するケースも少なくない。都庁では車の多い道路を象が歩くことは危険であり、象の健康にも悪いとして、飼い主に地方へ帰るよう勧めている。しかしこれまでも地方に帰った象が、再びバンコクに戻ってくるということが繰り返されてきた。
昨年十月には都庁による集中取り締まりが計画されていたが、これを知った飼い主が象を移動させたため、都内の象が一時的に減少。また多くの象が十一月にスリン県で開催される象祭りに向かったため、延期されることとなった。この計画には、捕獲した象にマイクロチップを埋め込んで帰郷させること、各県知事に象が再び上京しないよう監督責任を負わせること、スリン県に象の保護施設を建造すること、なども盛り込まれていたが、財政難と飼い主の反対により具体化していない。
デモに参加した飼い主らは「象が観光施設で雇用されることを希望するが、仕事の口は少なく、また芸当が覚えられない象はバンコクで餌代を集めることしかできない」と述べている。
象はかつて木材の搬出に使われ、飼い主に月々四万バーツから六万バーツの収入をもたらした。しかし五十年前に国土の六〇%を占めていた森林面積は、現在一五%から二〇%に減少。さらに八九年に始まる伐採禁止強化により、象は労働力として必要とされなくなってきた。仕事がない上に森林の減少で自然の餌もなくなれば、食費が月に一万バーツ以上、寿命が七十年以上という象は飼い主の大きな負担となる。一方、バンコクなどの都市で通行人に餌を売っている象の収入は月三万バーツから五万バーツ。特に夜の繁華街では、月十五万バーツを稼ぎ出すことも可能とされている。
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