総 合

映画「ザ・ビーチ」
環境保護団体、公開に抗議

「ディカプリオに惑わされるな」


「道徳的に問題あり」との内容批判も

 タイで撮影されたレオナルド・ディカプリオ主演のハリウッド映画「ザ・ビーチ」が今月十日から公開される。

 同映画については、撮影時より環境保護団体が「タイの自然を破壊する」として抗議行動を展開。七日にはチャリティ試写会が行われた都内映画館前で、レオナルド・ディカプリオの仮面を付けた活動家が切腹して血を流す寸劇を演じ、「ディカプリオに惑わされず、とにかく映画を見ないでほしい」と呼びかけた。また他方では、映画の内容が道徳的に好ましくないとして上映中止を求める声もあがっている。

 「ザ・ビーチ」はアレックス・ガーランドの同名小説を映画化したもので、レオナルド・ディカプリオ演じる米国人バックパッカーが、タイで究極の楽園を探すという内容。昨年一月中旬から四月中旬にかけ、タイ南部のクラビ県ピピ島や中部のカオヤイ国立公園で撮影され、米国やイギリスでは先月中旬から上映されている。

 環境保護団体は映画を制作した二十世紀フォックス社が、ピピ島のマヤビーチで撮影用に砂浜を造成したことを非難。チャリティ試写会の際には会場前に写真を展示し、一面の雑草地が砂地に変わってしまった様子などを紹介した。

 現地の環境保護団体によれば、撮影隊はブルドーザーで砂浜の植物を撤去して撮影用の「トロピカル・ビーチ」を造成。後に復元したものの、雨季には侵食防止用に打ってあった杭が役に立たず、植物が育たなかったという。現地の活動家は「自生の植物がなくなったため、多くの砂が海に流れ込むようになった。マヤビーチ沖のサンゴ礁は今後、砂で破壊されるかもしれない」と述べている。

 環境保護団体は撮影が始まる以前から、民事裁判所に強制命令による撮影中止を求め、撮影中も現場で撮影隊と小競り合いを起こしていた。また昨年二月には、ピピ島やカオヤイなどの国立公園内における撮影を許可した王室森林局前に集結し、森林局長の辞任を要求している。裁判の審問は今月七日に再開され、地元の代表は二十世紀フォックス社、現地プロデューサー、森林局を相手取り、「環境影響調査の終了を待たずに撮影を開始した」として一億バーツの損害賠償を求めている。

 一方、宗教・芸術・文化に関する下院特別委員会は八日、映画の中で仏像が不適切に扱われていることを指摘。環境破壊問題で係争中であることからも、公開を中止すべきとの意見を表明した。同委員長は「主人公が仏像の前で考え込んだ末、セックスとドラッグを求める旅に出るというのは、タイ仏教への冒涜」と語っている。またプーケット環境保護団体の代表も「主人公がマリファナを吸う場面は、タイの若者に悪い影響を与える」として、警察庁に上映中止を要請した。

 これに対し二十世紀フォックス・タイ支社の販売部では、仏像は単にタイにいることを示すために登場させただけと説明。委員会から正式な中止の申し入れも受けておらず、十日から映画を公開する予定に変更はないとしている。販売部の代表は「すでに首相府国民広報局映画評議会の審査も通過しており、公開に支障はないはず。映画は仏教やタイ国のイメージを損なうものでは決してない」と語っている。



[BANGKOK SHUHO]