総 合

バンコク近郊県 廃品から放射能漏れ

医療機器会社が空き地に放置


ずさんな管理、浮き彫りに

 バンコク近郊サムットプラカン県プラプラデン地区で廃品回収業者が解体した機械部品から放射性物質コバルト六〇が漏れていたことを二月十九日、保健省が発表。同日中に科学技術環境省原子力平和利用事務局の職員が回収作業を行い、翌二十日には保健省が半径三十メートル以内の住民約四百五十人について健康診断を実施した。被爆した廃品回収業者の従業員三人は重体となっている。

 放射能が漏れた機械部品は重層構造になっており、内側にはコバルト六〇が入った直径二・五センチの円筒三本が収められていた。廃品回収業者はこの機械部品を二月一日にくず鉄行商人から購入し、集積場に放置。十六日になって二人の従業員がガスバーナーを使って解体したところ、突然気分が悪くなり、自力でサムットプラカン病院に到着した後、意識不明となった。このほか近くにいた別の従業員、経営者夫婦、機械部品を持ち込んだくず鉄行商人、付近の住民など十人が白血球の減少、やけどなどで入院。うち症状の重い五人がバンコクの病院に移送された。

 警察の調べによれば、機械部品は放射線医療機器輸入販売会社カモン・スコソン社の駐車場から盗まれたもの。同社は昨年十月、保管用倉庫の賃貸契約が切れて以来、使用済みの放射線医療機器三台をバンコク・プラウェト地区の同社駐車場に放置していた。駐車場は自由に出入りできる広い空き地で、近所の人の話では子供達がよくサッカーをして遊んでいたという。一月下旬には四人の廃品収集人が、一台の機器から部品を取り外して、くず鉄行商人に売却。さらにこの行商人がサムットプラカン県の廃品回収業者に持ち込んでいた。

 使用済みの放射線機器は本来、原子力平和利用事務局または輸入元に回収を依頼しなければならない。しかし原子力平和利用事務局のマヌーン・アラムラット副事務局長によれば、同事務局の保管倉庫がほぼ満杯のため、所有者自身が建物内で保管することを認めていたという。一方、輸入元による回収は、多額の費用がかかるためほとんど行われていない。原子力平和利用事務局では放射能を取り扱う全国約五百ヵ所について年一回査察を行うことになっていたが、カモン・スコソン社の査察は二年以上行われていなかった。

 アティット・ウライラット科学技術環境相は二十三日、放射能機器を使用する民間企業の代表及び原子力平和利用事務局と、放射能の安全利用について協議。医師を中心とする民間企業の代表は、原子力平和利用事務局が使用済み放射能機器の回収を拒否し、管理を民間に任せていることを非難した。また同事務局は使用済み放射能機器について、民間で保管されている数だけでなく、自ら保管している数さえも正確に把握していなかった。マヌーン副事務局長は批判を認めながらも、予算不足と官僚主義に阻まれ、同事務局が機能を果たすことが困難な状況を説明。回収については改善を約束した。

 原子力平和利用規則は一九六一年の制定以来改訂されていない。アティット科学技術環境相は、不備の多い同規則を関連法を含めて見直す必要があるとしている。



[BANGKOK SHUHO]