寡占化が進む携帯電話市場
WAPにらみ合従連衡続く
タイ最大の携帯電話事業者アドバンスインフォ・サービス(AIS)を傘下に有するシンコーポレーションは、デジタルフォンの発行済み株式の四五・六パーセントを取得することで合意した。デジタルフォンの最大株主は四九パーセントを出資するテレコムマレーシアだが、シンは最高経営責任者(CEO)と最高財務責任者(CFO)を任命できるため、事実上の影響力はテレコムマレーシアより上になる。
デジタルフォンを手放したサマート・コーポレーションはシン株式の六パーセントを手に入れる。ともに通信大手であるサマートとシンの関係は今回の合意を機会に、包括的なものに発展する可能性が大きい。
第三位の携帯電話事業者であるデジタルフォンを傘下におさめたシンは、タイの携帯電話市場において圧倒的な力を持つことになり、すでに独占を懸念する声も上がっている。シンは買収の理由を、二〇〇六年に予定される通信事業の自由化に備え、外国企業と競争できる体制を整えておく必要があるため、と説明している。
AISとデジタルフォンをあわせた契約者数は百三十万人を超え、第二位のトータルアクセス・コミュニケーション(TAC)の百十万人を大きく引き離す。マーケティングでも人気歌手のニコルをイメージキャラクターに起用するなど、AISに一日の長がある。技術的な戦略としては、AISはデジタルフォンのネットワークを使い、デュアルモードサービス(一台の端末で2種類の携帯電話ネットワークを利用できるサービス)の提供を本格的に進める方針。
TACはAISに対抗するため、外国通信企業との提携を模索しており、現在のところノルウェーのテルノルやオーストラリアのテルストラが候補に上がっている。テルストラはTAC株式の二五パーセントに三億二千五百万ドルを提示しているといわれる。
TACのライバルはAISだけではない。バンコクの地域電話会社テレコムアジアが、日本のPHS技術を利用したPCTサービスで急速に契約者数を伸ばしている。PCTは自宅電話と同じ番号が使えることや、安価な端末価格・通話料金で人気がある。また、テレコムアジアは携帯電話市場に参入する機会を虎視眈々と狙っている。
大手通信会社が携帯電話市場で火花を散らす背景には、今後、携帯電話によるインターネット利用が急速に広がるとみられていることがひとつにある。特に、今年はタイにとってWAP元年となる。WAPとは携帯電話端末などを通じてインターネットにアクセスする環境のことで、テレホンバンキングや電子証券取引といったサービスが可能になるほか、ニュースや株価速報なども瞬時に入手できる。
大手携帯電話メーカーは一斉に、WAP対応端末をタイ市場で売り出す予定で、ある調査によると、今年中に約一五パーセントの携帯電話端末がインターネットに対応するという。
携帯電話会社の動きに対応するように、インターネット接続業者、ロクスレー・インフォーメーション・サービスはWAP(ワイヤレス・アプリケーション・プロトコル)専用のウェブルサイトを立ち上げている。WAP機能を持つ携帯電話さえあれば、ウェブサイトを通じてさまざまな情報にアクセスすることが可能だ。
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