UNCTAD 先進・途上国の亀裂、埋まらず
タイ外相 「同じ利益受けていない」
UNCTAD(国連貿易開発会議)の第十回総会が十二日、バンコクのシリキット・ナショナル・コンベンションセンターで開会された。約百四十カ国の首脳、代表団が出席しているほか、コフィ・アナン国連事務総長、国際通貨基金(IMF)のマイケル・アムドシュ専務理事、世界貿易機構(WTO)のマイク・ムーア事務局長なども参加しており、「グローバル化に伴った途上国の経済発展問題を、いかに調和のとれた国際協力・国際開発によって解決するか」が焦点となっている。
スリン・ピスワン外相は基調演説の中で、経済回復が順調に進むかどうかは、世界の経済環境によって大きく左右すると指摘した。
「問題なのは、途上国がグローバル化によって、先進国と同じ利益を得ていないことにある。途上国と先進国の所得差は広がる一方で、途上国の資本流入も経済危機以前レベルへの回復が遅れている。タイを含むアジア諸国は、経済危機から回復の方向へ向かっているが、国際機関が途上国の正当な関心事に配慮しなければ、改善する前に経済危機が再発することも考えられる」
スリン外相はその打開策として、@先進・途上国のバランスを考慮し、差別のないグローバル化を形成する。A貿易の自由化に関して、途上国における外国企業の事業条件を改善し、途上国と先進国の輸出市場のバランスを図る。B国際金融システムを改善する。C各国が公平な発展、競争が出来るための開発政策と戦略を明確にすることを提案した。
日本の首相としては二十一年ぶりにUNCTADに出席した小渕首相は、WTOを中心とする多角的貿易体制の維持・強化は国際経済運営の最大課題であると述べ、先進・途上国の信頼関係の醸成の重要性を強調した。
またこの具体案として、@途上国の二千五百人を対象にした人材育成支援策を行うA後発開発途上国からの輸出について、無関税、無枠の特恵待遇を、全ての産品に対し供与することを推進すると発表した。
一方、アナン国連事務総長は十二日、ASEAN(東南アジア諸国連合)代表と会合し、ASEANは国連のオブザーバーになるべきだと提案した。ASEANは、地域連合の中でただ一つ、オブザーバーでないからだ。しかし、全てのASEAN加盟国は既に国連に加盟しており、一つになることで立場が弱くなると懸念する国が反対していることから、この提案への反応は消極的であった。
ミャンマーのウィン・アウン外相はこの席で、国連と国際機関はミャンマーの経済発展に十分な援助をしていないと批判した。
「我々は一九四八年より国連に加盟し、サポートしてきた。国連は我国の民主化が実現するまで援助を打ち切るとしているが、それは間違っている。我々は現在、その民主化を実現するのに国際援助を必要としているのだ」と途上国への開発援助プロセスに不満を述べた。
また、マレーシアのマハティール首相は別の席で「全ての人がグローバル化によって等しく利益を受けているか疑問」と意見しており、グローバル化の進め方に不信な態度を示した。
これに反し、先進国側はポジティブな見方を示している。それが最も顕著に現れたのは、総会で配布された、後発開発途上国四十八カ国の過去二十年の経済指標を集めた「後発開発途上国一九九九レポート」であろう。 同レポートには、一人当たりGDPが百六十三ドル(一九八〇年)から二百三十五ドル(一九九七)と四四%上昇したことのほか、死亡率の低下、入学率の上昇、食物摂取量の増加、OECDを含む国際機関による援助金増加、債務返済比率の減少など、途上国で改善された部分のみがクローズアップされ、グローバル化による貧富・地域格差や、環境問題の悪化などについては深く追求されていなかった。
二つのグループに隔たるギャプは、昨年十二月のWTOシアトルラウンドで見られたものと、何一つ変わっていないのではないか。同会議において次期多角的貿易交渉(新ラウンド)が立ち上がらず失敗に終わった原因は、WTOが先進国中心で運営され、途上国を軽視したところにある。「加盟はさせても、実権は持たせない」体制では、新ラウンドに向けての調整も、国際協力・国際開発による真のグローバル化も達成は難しい。
最終日の十九日には、今後四年間の指針となる「バンコク宣言」が、議長国のタイ政府により配布される。各国と各国際機関への行動計画が取り込まれる予定で、商業省は「これが単なる計画書に終わらないことを願いたい」と話している。
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