経 済

著作権侵害 ATECに罰金75万バーツ

海賊版ソフト製造者は野放し


 マイクロソフト社の海賊版ソフトウェアをインストールし、その商品を販売していたタイの大手コンピューター製造会社「ATECコンピューター」に対し、刑事裁判所は四日、著作権侵害などの有罪判決を言い渡した。世界のマイクロソフトがタイの大手コンピューター社を相手に訴訟を起こし、厳しい処罰を要求したのはこれが始めて。

 報道によると、刑事裁判所はソフトウェアの著作権侵害として、四十万バーツの罰金をマイクロソフト社に支払うようATECコンピューターに命じたほか、経営者へは執行猶予一年及び罰金刑二十万バーツが処せされた。また販売員には、不法にインストールされたコンピューターを販売した罪で、執行猶予九カ月、十五万バーツの罰金刑が言い渡された。

 ATECコンピューターに課された罰金は、合計で七十五万バーツ。マイクロソフト法務部のケニー・チェン氏は、タイで頻繁に売られている海賊版ソフトを禁じるためには、この程度の罰金を課する必要があると述べる。

 「タイで海賊版ソフトを売る者、またはそれをインストールした商品を売る者たちへ、その行為が深刻な大罪であることを認識させるのが重要だ」 ATECは、同社の海賊版ソフトをインストールした商品を売る際、消費者にそれに関する情報、または説明書を一切提供していなかった。

 これに対しニティパット・リンワニチャートATEC社長は、海賊版ソフト製造者を処罰するべきだと反論しており、米最高裁判所に上告する意向を示している。

 「海賊版ソフトの製造元を取り締まらない限り、低価格を競い合うタイのコンピューター製造・販売会社は海賊版ソフトを使い続けるだろう。もし我社だけが著作権使用料を支払えば、商品は他の国内産より割高となり、外国産コンピューターとの競争も一層厳しくなる。生き残ることは難しい」

 一昔前は、海賊版CD複製・販売拠点と言えば香港、マカオ、台湾が有名だった。しかし各国の規制が厳しくなるにつれ、それはタイに南下してきた。実はこのタイでも、一九九五年三月に著作権の強化が実施され、違法者の罰則規定や経営責任などが明確にされている。コンピューターソフトウェアもこの時保護対象品として加えられたが、実際に取り締まられたのは音楽ソフトの海賊版だけで、コンピューターソフト、ゲームソフト、ビデオCDなどの海賊版市場は野放しのままとなっているのである。

 この背景には、タイの情報社会の発展の鈍化を防ぎたいタイ政府の意向が隠れている。経済危機からいち早く抜け出し、先進国との差を縮めるには、情報化を進めることが極めて重要であり、政府は海賊版製造者への規制を避けているのだ。

ATECコンピューターは、一九九三年に設立。独自のブランドPCを製造し、数年でタイの五本の指に入るベストセラーとなった。輸出にも精を出し、九九年にはアユタヤに新工場を立ち上げている。売上は前年比二〇%増を達成した。

 また今年一月には「二〇〇〇年の売上も二〇%増になる」と発表、明るいスタートを切ったばかりであった。

 法に背いた商売をして、それが罰せられるのは当然のことである。しかし今回のケースは、規制が効力を発さない国の中で、生き残りに喘ぐタイのコンピューター製造・販売会社の姿が浮き彫りにされたものと言えよう。



[BANGKOK SHUHO]