急成長する電子商取引市場
ハッカー犯罪への対策が急務
米GEキャピタルが運営する「タイライフスタイル・ドットコム(thailifestyle.com)」。開設されたばかりだが、電子商取引サイトとして高い認知度を誇り、アクセス数もうなぎ登りだ。大手デパートのセントラルや家電チェーンのパワーバイと提携し、幅広い電子商取引事業を展開している。またBMWなどの自動車会社とも手を結び、リースやオークション事業を展開。将来はゴルフサービスやCD販売など、あらゆる方面にサービスを広げていく構想を描いている。
つい最近まで、タイの電子商取引市場が離陸するには時間がかかるとの見方が有力だったが、ここにきて予想以上の盛り上がりを見せている。「離陸してからでは遅すぎる」と見た内外企業が続々とウェブサイトを立ち上げていることが背景にある。タイの代表的サイト「サヌック・ドットコム(sanook.com)」が外国企業に買収された例を挙げるまでもなく、欧米企業によるタイ電子商取引市場への進出意欲は盛んになる一方だ。
GEキャピタルのように自前で電子商取引サイトを立ち上げた企業もあるが、タイのインターネット企業との提携や買収を狙っている企業も少なくない。欧米におけるインターネット企業買収ともなれば十億ドルを超えるケースはざらで、それに比べれば数千万ドルでおさまるタイ企業の買収は割安感がある。
大手インターネット・プロバイダーのインターネットKSCは運営する電子商取引サイト「チャーミングモール・ドットコム(charmingmall.com)」を部分的に売却する意向を表明している。複数の欧米企業が関心を示しており、四億バーツを投資したいというオファーもあるという。チャーミングモールには個人を中心に約百三十店舗が出店しており、KSCは今年中に一千店舗に到達すると見込んでいる。
なおKSCは先に、海外のインターネット企業と合併し、米ナスダック市場に上場する青写真を描いていた。しかし、チャーミングモールの株式を売却すれば、合併せずに単独で事業を拡大する道が開けることから、方針を変更する可能性も出ている。
急成長しているタイの電子商取引だが、不安の種がないわけではない。世界的にハッカーによる被害が続出するなか、タイにもハッカーの脅威が忍び寄っているからだ。先日、米国のハッカーがロックスレー・インフォメーション・サービスの電子商取引サイト「ショッピングタイランド・ドットコム」に侵入し、クレジットカード情報を盗むという事件が発生。盗まれたカード情報は無料ホームページサイトで公開されたが、気が付いた管理者によって消去されている。
この事件によって、タイの電子商取引サイトのセキュリティが脆いことが明らかとなった。インターネットでは世界中からハッカーの攻撃にさらされる危険性があるため、対策は厳重におこなう必要がある。
ハッカーによる実害以上に危惧されるのは、心理的な悪影響が広がることだ。消費者がハッカーに対する不安感を持ち始め、かつての西暦二〇〇〇年問題のように社会問題化すれば、せっかく離陸し始めた電子商取引の腰を折りかねない。
こうした脅威を未然に防ぎ、健全な電子商取引環境を育成するために法整備も進んでいる。タイ政府IT政策委員会(委員長=トライロン副首相)が書き上げた電子署名法案は電子商取引関連法案のひとつで、電子商取引を支える法体制の根幹をなすものだ。同法案は、電子取引法案とともに近く閣議にかけられる予定となっている。
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