国際テロ組織の動き、活発に
国連貿易開発会議
タイ中央情報局 「カオサン通りが危険」
今月十二日から十九日にかけてタイの首都バンコクで第十回国連貿易開発会議(UNCTAD)が開催されることから、国際テロ組織のタイでの活動が警戒されているが、先月末にプムラット・タイ中央情報局局長は「国際テロ組織の動きが新年を迎えてから活発になってきた」と発言。さらに「テロ組織の標的はアメリカ」、「もっとも危険なのはアラブ過激派でテロ行為にでる可能性が高い」――などの内部情報を記者団に明かしたことで、テロ対策の話題が一気に過熱化することとなった。
同長官はさらに「アラブ過激派はミャンマー過激派ほど生易しくはない。はるかに過激であり、大型爆弾が使用される危険性も否定できない」と警告している。
アラブ過激派の最大の標的はアメリカとみられるが、アメリカ大使館は監視が厳重であり、ここを直接狙うのは困難。しかし、「アメリカ人旅行者全員を保護するのは不可能に近く、その点からすると盲点といえるのはカオサオ通り」との見方をプラムット局長を示した。カオサン通りはバンコクの安宿街として世界各国の若者に人気があり、当然、アメリカ人旅行者も多い。このため現在、首都警察ではカオサン通りの監視を強化している。
タイ中央情報局では、九八年に起きたアフリカ(ケニア・タンザニア)のアメリカ大使館連続爆破事件で黒幕とされるビン・ラーデン氏一派が、現在潜伏中のアフガニスタンを次々と脱出しているとの情報もつかんでおり、この動きにも警戒心を高めている。
しかし、カオサン通り周辺の雰囲気は特に変わりがなく、「警官も頻繁に巡回しているし、テロ行為は特に問題ないと思う。」(ゲストハウス従業員・二九)、「新聞でカオサン通りが危険地域になっていることを知ったが、タイ政府を信じている」(アメリカ人旅行者・二六)――など、「住民」の大半が事態を楽観視しているようだ。
一方、今回の会議を重視するタイ政府は不審な外国人の一斉摘発を断行、先月末には一日で約千五百人を検挙(うち八〇%は物乞い)している。また会場となるシリキット国立会議場の周辺は、二十四時間体制で検問を実施。さらにタイ外務省情報局も、「不審物をみかけたらすぐに通報してください」と、市民に協力を呼びかけている。
なおタイ政府は会議参加国の政府首脳・マスコミの過剰反応を心配しているようで、会議の保安を担当しているピチャイ副首相は、「情報局より事前の報告がなかった」とプラムット局長に対しての不満を公言。同局長は「チュアン首相には報告した」と釈明しているが、チュアン首相自身、「一般的な説明は受けているが、具体的なテロ組織名には触れていなかった。テロ組織がタイに入国しているという話は聞いたことがない」として、局長のスタンドプレーにいくぶん困惑顔だ。
今回、タイ政府は「約六千人の警官・軍人を会場や宿泊施設の警護に投入している」(アカポン首相府報道官)とテロ対策に自信を示す。しかし警官の人員不足は周知の事実であり、都民の間からは、会議期間中の犯罪増加を危惧する声も上がっている。アカポン報道官は「市民の警護を放棄しているわけではない」と力説するが、それでもこの期間は特に自衛意識を高めた方が無難かもしれない。
(倉林義仁記者)
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