半導体 ウエハー工場実現に向け前進
くすぶるサブミクロン問題
タイ政府がウエハー(=集積回路基板用のシリコン単結晶薄片)生産施設の建設に向けて本格的に動きだしている。経済閣僚会議は民間企業主導によるプロジェクト始動にゴーサインを出し、具体計画の策定と各方面との調整に乗り出した。建設にかかる総予算は五百億バーツ程度で、順調にいけば、二年以内に完成するという。政府の出資比率は四分の一以下にとどまるようだ。
工業省と科学技術環境省はタイにウエハー生産拠点を設けることに極めて前向だ。しかし、両省が経営破綻したサブミクロン社の建設途上施設を利用する意向なのかどうかはわかっていない。大蔵省は競売にかけられる予定のサブミクロン資産を購入して、民間企業と合弁企業を設立する青写真を描いている。
工業省内にはサブミクロン社の立て直しを支援して、ウエハー工場の建設を続行すべきとの意見もあるようだが、大蔵省はこれに強く反対している。民間企業の債務再構成を推進している大蔵省としては、経営破綻したサブミクロン支援は受け入れがたいといのがその理由だ。
サブミクロンの施設を利用するのがプロジェクト始動への最短距離であるという意見では、各省庁が一致しているようだ。しかし、サブミクロンの破綻は政治問題となっているだけに今後さらにもつれる可能性があり、一から建設するほうが賢明とする立場も根強い。
工業省国家科学技術開発庁(NSTDA)は二十一世紀の国家戦略の一環として先端産業の育成が不可欠、との見地から政府が中心的な役割をはたすべきだとしている。
シンガポールには、一〇〇パーセント政府出資による半導体ウエハー施設を二か所立ち上げているうえ、モトローラやヒューレット・パッカードなどの外国企業出資による工場が三か所ある。タイでも政府が先頭に立って投資すれば、外国企業を誘致することができると考えがあるようだ。タイ政府は五年以内に二、三社のウエハー工場を誘致したい意向。
NSTDAによると、台湾セミコンダクター・マニュファクチャリング(TSM)、ユナイテッド・マニュファクチャリングなどの台湾企業の誘致を念頭においているという。両社は世界有数のウエハー生産量を誇り、欧米・日本企業をリードしている。
経済危機以前、サブミクロンがチャチュンサオ県に建設を進めていた半導体ウエハー工場は、巨額の負債を抱えて頓挫し、その施設は休眠状態にある。昨年、サイアムシティ銀行が債務支払いを求めた裁判で、裁判所はサブミクロン資産の凍結を命じており、清算が正式に決まれば競売にかけられることになる。なお、サブミクロンの破産裁判は続行し、今回の政府決定により支障をきたすことはない。
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