総 合

「政府介入」で温度差

OPEC  原油を減産→国内石油価格急上昇


バンハーン前首相「早急な対策が必要」

 OPEC(石油輸出国機構)が「原油の生産調整を継続する」と決めたことに伴い、国際市場では原油価格がさらに上昇する、との懸念が強まっている。このため、与党・チャートタイ党党首のバンハーン・シラパアチャ元首相は、政府に対し、石油の国内価格の上昇に対策を講ずるよう強く要請した。バンハーン党首は、石油問題への見解が、自分とチュアン・リークパイ首相との間では異なることを認めるとともに、「首相は、石油価格は市場のメカニズムが決めるものだとしているが、あまりにも値上がりした場合は、国民の負担を軽減するために政府が介入する必要がある」と指摘した。

 バンハーン党首によれば、石油価格の上昇は特定の人々だけでなく、国民全体の生活にも影響するものであり、実際に国民が困っているのであれば、政府は早急に対策を講ずるべきだという。同党首は最近、政府の政策に批判的な姿勢を強めており、先に、与党第一党・民主党幹部のブンチュー・ロチャナスティエン議員が、「政府や大蔵省は、農民や農業全体への配慮が足りない」と批判した際にも、バンハーン党首は同議員に同調し、政府を批判している。

 関係筋によれば、バンハーン党首のこのような姿勢は、先月の不信任決議案に関する国会審議で、野党陣営が民主党を批判したことに関連したものと見られる。野党側はこの国会審議で、「民主党は、バンハーン党首が不正融資を受けたかどうかの調査を警察に命じた」と告発している。民主党は全面的に否定したが、バンハーン党首は、この説明には満足せず、この問題は未だに尾を引いている。野党側の説明によれば、「民主党は、不信任決議案の採決でチャートタイ党が造反しないよう、バンハーン党首のしっぽをつかんでおきたかったのだ」という。

 また、バンハーン党首は、できる限り早期に調査を実施し、国民が石油価格の上昇でどの程度苦しんでいるのか、はっきりさせる必要がある、と主張している。政府の対策が遅れれば遅れるほど、怒りを爆発させた市民が大挙して政府に抗議する恐れがあるという。

 石油価格の値上がりでもっとも大きな影響を受けているのは輸送部門である。バンコクの路線バスサービスを担当するバンコク大量輸送公社は赤字経営が続いており、また、主要都市を結ぶ長距離バスサービスを運営する国有トランスポート社は、燃料費の上昇に伴い、便数を減らすよう当局に求めている。石油価格の値上がりの影響がさらに深刻になれば、このような公共サービスが十分にできなくなり、国民が困ることになる。

 しかし、ステープ・トゥクスバン運輸通信相は、路線バスや長距離バスの運賃値上げを許すことはできないとの姿勢だ。同運輸通信相の説明によれば、国際市場で原油は一定レベルまで上がった後、下がるのが普通であり、値上がりしたからといって、すぐにバスなどの運賃を上げるのは間違っているという。同運輸通信相は、「石油が値上がりする度に運賃を値上げすることには賛成できない。石油は来週にも値下がりするかもしれない。いま値上げすることは将来に問題を作るだけだ」と指摘した。

 昨年末にも原油が値上がりし、野党陣営は、政府に対し、石油税の減税などを強く求めたが、このときは、石油は、すぐに値下がりしている。チュアン首相は、連立政権内部からの声にも関わらず、今回も石油税減税などの対策は講じないとしている。


[BANGKOK SHUHO]