移動図書館日記
〜巡回寺子屋教室イサーンをゆく〜
第六章慣れてきた子供たち(第四週)
96年7月22日(月)=午前=ノーンパヨーム小(後編)
一・二年生も歌の指導からはじまった。「動物の子供の歌」。
クローンゲーオ先生が歌詞をかいたおおきなカードを前にだし、手拍子をいれながらまずうたってみせた。
アヒルの子供はなんて鳴く
ガープガープガープ
鶏の子供はなんて鳴く
ジアップジアップジアップ
子犬はほえる
ボークボークボーク
そして子猫は
ミヤオミヤオミヤオ
ウーウーウーは子豚の鳴き声
オッブオッブオッブ
と鳴くのはカエルの子供
小鳥が鳴いてる
ジップジップジップ
子牛も鳴いてるモーモーモー
子供たちはクローンゲーオ先生のあとをついて五分ほど練習するとだいたい歌詞をおぼえた。とびあがったり(カエル)、両手をひろげてぐるりと回ったり(鳥)などこの歌にもフリがついていて、児童たちはそれもまたたくまに身につけてしまった。
歌のあとは恒例の読書。ひとりずつならんで順に本からとりだし、ゴザの上で輪になって読む。あいかわらず大声をはりあげながらの読書だが、本にたいして積極性がでてきた。
わからない文字にぶつかると、となりの友人にたずねたり、クローンゲーオ先生のところへ行き、「この字はなんと読みますか」と質問している。それでも十分をすぎるとあきてきたようで、十五分たったところでプリント学習にきりかわった。
プリントには、さきほどうたった「動物の子供の歌」の歌詞が上半分に印刷してあり、下段にはアヒルの子供や子犬や子豚の絵が描いてある。子供たちは歌詞を参考にしながら、空欄に「小鳥」「子猫」などの単語をタイ語でかきいれていった。
できあがると子供たちはプリントをクローンゲーオ先生に提出。歌詞の部分を読み上げてから採点してもらう。だいたいできている。
「とてもきれいな文字ですね」「このつぎはもう少しゆっくりていねいに書こうね」「ここのつづりがちがってますよ」などとクローンゲーオ先生は児童たちに声をかけながら点数をつけていった。
午前十時五十分、高床式校舎の下中央付近へふたたび全校児童があつまった。黒いおおきな幕がはってある。
「さあて、なにが今からはじまるのかな?」
クローンゲーオ先生が子供たちにといかけた。
「劇をやるとおもいます」
すかさず三・四年生がこたえた。
「あれえ、どうして知っている子がいるのかな。ああ、そうか。ピム先生がおしえてくれたのね。でも劇の内容はわからないでしょう?」
「はあい、聞いていません」
「では、さっそくはじまりますよ。しずかに見ていてくださいね」
児童たちの拍手にさそわれるようにして、「お日様の夏休み」という、十分ほどの寸劇がはじまった。移動図書館の三人の先生たちが紙で手づくりした太陽や雲の人形が登場すると、一・二年生を中心にたのしそうな笑い声がわきおこった。
―最近ちっとも顔をださない太陽を雲がたずねていくと、太陽はこう言った。「一年じゅう働きどおしで一日も休んだことがない。だから四、五日休暇をもらって旅行にいきたい」と。雲はおどろいて太陽をとめるが、太陽はすこしだけだからと告げて旅に出てしまった。とちゅうで鳥をさそうが、鳥は「さいきん太陽が照らないのでわたしの子供が病気になってます。子供の世話をしなければならないので、遊びにはいけません」とことわられる。またヤシの木にも声をかけたが、元気がない。ヤシの木は言った。「このところ太陽がでないので光合成ができず、まったく力がでません」。やがて太陽は自分の役目の大切さを知り、ふたたびしっかり働きだしたーという内容。
演劇鑑賞のあと、「手をあらおう」の歌を全員で斉唱し、午前十一時十分この日の活動がおわった。
杉浦 直樹
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