移動図書館日記

〜巡回寺子屋教室イサーンをゆく〜



96年7月12日(金)=午前=
ワングン小・ノンセーンシラー小(前編)

     全校児童が九人のノンセーンシラー小学校はいうまでもなく、児童数八十人あまりのワングン小学校も小規模校の部類にはいる。ちいさい小学校はタイ政府からの予算がすくないなど恵まれない面が多い。両小とも教員数や学校の設備などが不十分で、きびしい学校運営をしいられている。

 しかしそんな境遇にめげることなく、子供たちはたいへんに勉強熱心だ。各学年でその傾向をみることができる。

 五・六年生でおこなったイギリス語のプリント学習は、他の小学校と比較してかきこむ速度がはやい。

 どこの小学校でもプリッサナー先生は十五分の時間を子供たちにあたえた。時間内にできない子供もいたが、ワングン小学校では全員十分以内でおわり、はやい子は三〜四分で仕上がった。しかも平均的によくできていた。二十人のうち全問正解者は三人おり、それ以外の児童もだいたい七問いじょうはできていた。

 プリッサナー先生はいう。

 「五・六年生でもひとりやふたり文盲の子がいることは、イサーンの農村部の小学校ではけっしてめずらしいことではありません。しかしワングン・ノンセーンシラー両小学校とも平均以上の国語(タイ語)力をもっています」

 もちろん、児童全員がひとりのこらず学力がたかいわけではない。プリント学習でこんな場面があった。

 「オイ、『指』ってイギリス語でなんだっけ」

 ある男の子がとなりの子へきく。

 「フィンガー(finger)、だよ」

 「つづりは?」

 「f、i、n、g、e、r、と書くの、わかった?」

 また足(foot)とかくべき欄へ指(finger)とかいたり、髪の毛の「hair」を「heya」と発音どおりにかく子もいた。

 「ちょっと、あなた、それちがうわよ」と友だちの書き間違いを指摘してやったり、はやくできた子は書けない友人に自分のプリントをみせてあげたりしていた。

 三・四年生のニッタヤー先生もここの小学校の水準がたかいことをみとめる。

 「わんぱくな子がおおいのですが、国語(タイ語)力はしっかりしているし、学力も上の部類にはいります」

杉浦 直樹


[BANGKOK SHUHO]