移動図書館日記

〜巡回寺子屋教室イサーンをゆく〜



96年7月11日(木)=午後=クアン小(3)

    大騒ぎしながらも三十五分も読書がつづいた。本を読んだあとはプリント学習だ。

 クローンゲーオ先生が一枚ずつプリントをくばると、プリントにえがいてある動物の絵をみながら質問した。

 「この絵はなにかな」

 「豚です」

 「それではつぎは?」

 「犬、です」

 「じゃあ、この三番目の絵はなんだろう」

 「猫」

 「三つのなかでもっとも大きい絵はどれかしら」

 「猫でーす」

 「絵をぬるのは、豚かな、犬かな、それとも猫?」

 「猫です」

 「はい、そのとおり。プリントのやり方はわかりましたね」

 子供たちは設問にしたがって一問ずつといてゆく。クローンゲーオ先生が事前に問題の解き方をおしえたのでみんなできている。ただしぬり方の雑な子供がめだつ。一色しかつかわない子が他の小学校にくらべて極端に多い。

 わたしが児童たちの様子を記録していると、一・二年生の男子児童六、七人がわたしの写真機をしきりにのぞきこんでいる。とくにストロボに関心があるらしく、熱心にみているので、「このなかにはお化けがいるんだぞ」というと、子供たちは「ウヘェー、お化けがいるんだってえ」と大騒ぎ。

 おっかなびっくり、そうっとストロボにさわった子に「ウアッ!」と大声でおどろかすと、この子はとびはねるようにして写真機からはなれた。クアン小学校の子供たちはまったく人見知りせず、人懐っこい。

 午後二時五十分、合同でゲームをするため全校児童はふたたび一堂に会した。

 クアン小学校でのジェスチャーゲームはたいへん活気と熱気にあふれていた。すでに報告したドーンハーン・コークヤイ両小学校のばあいと重複する部分もあるが、クアン小学校の様子をこまかくかいておきたい。

 ゲームのすすめ方について説明をしてからクローンゲーオ先生が男女各ひとりずつを前に呼んだ。

 「文字がきちんと読め、お話の得意な子。男の子ひとり、女の子ひとり、ここにきてください」

 全校児童の拍手におくられて、男女チームの代表者がひとりずつ前にでた。ふたりはじゃんけんし、男の子の先攻がきまった。

 クローンゲーオ先生が男子チームにたずねた。

 「男の子たちはどのカードをえらびますか」

 「ヘリコプター」

 「では女の子たちはどれがいいかな」

 「傘のカード」

 ニッタヤー先生は男子チームの応援を担当。

 「男の子チーム、ぜったいに勝ちましょう」

 「おう!勝とう!」

 これに対抗してプリッサナー先生が女子チームの応援にまわる。

 「女の子たちも負けないで!」

 「ぜったいに、勝ちまーす!」

 男子チーム先攻でゲームがはじまった。代表の児童がヒントをだす。

 「これ、何?」(と、そばの木を指さす)

 「…木」

 「キキキッ」(と動物の鳴きまね)

 「猿!」

 「雨のとき、つかうもの」

 「えーと、か、傘!」

 十問ちゅう九問正解をいいあてた。

 「男の子は九個できました。獲得点数は九点!」

 クローンゲーオ先生が男子チームの結果を発表した。いっせいに男の子たちから喚声がわきあがる。

 ついで女子チームが十点満点めざして挑戦。

 「水浴びするとき、つかうもの」

 「えー、なんだろう、タオルじゃない、えーと、あれだ、セッケン!」

 「うーんと、あー、体をこうするの」(と眠るしぐさをする)

 「睡眠」

 女子チームも順調に回答がでて、九問こたえられた。

 「女の子チームも九つで、九点!」

 こんどは女子チームが手をたたいてよろこぶ。

杉浦 直樹


[BANGKOK SHUHO]