移動図書館日記
〜巡回寺子屋教室イサーンをゆく〜
第三章 ぬり絵(第二週)
96年6月24日(月)=午前=コークヤイ小(後編)
ぬり絵がおわるとひとりずつクローンゲーオ先生に提出する。そして採点してもらう。最高点は星印が三つ。クローンゲーオ先生は児童たちがもってきた作品にひとことずつ寸評をくわえながら採点してゆく。
「ここのところがすこし枠からはみだしているけれど、全体にきれいにぬれています。君は星を三個あげましょう」
「きちんとぬれましたが、もうちょっといろんな色をつかってぬってごらん。はい星ふたつ」
アイスクリームのクリームの部分(ひと枠)を三、四種類の色鉛筆でぬりわけている子供が五人くらいいる。独創性にとんでいてわたしはよいとおもうが、クローンゲーオ先生の採点ではひとつの枠は一色でぬる子のほうが評価がたかい。クローンゲーオ先生の採点基準はつぎのとおり。
・枠からはみださない。
・しろい部分(ぬり残し)がないようにぬる。
・ひとつの枠内は一色で。
・むらなく、ていねいにぬる。
・多種類の色をつかう。
六、七人ずつ四つの班にわかれた五・六年生たちはかんたんなイギリス語の単語のかいたカードをつかったゲームからはいった。
まずプリッサナー先生がカードを四枚ずつ各班へくばる。プリッサナー先生の「ようい、はじめ!」の合図で子供たちは右へ右へとどんどんカードをまわしてゆく。「やめ!」とプリッサナー先生が言うとまわすのをやめ、そのときカードを手にしている子供が、カードにかかれてある単語をおおきな声で読みあげ意味をのべる。そのあとに他の子供たちが声をそろえて単語の読み方と意味を言う…といったゲーム。
たとえば、「PLAY」とかかれたカードをA君がもつと、彼は「プレイ!プレイ!意味は、遊ぶ」と大声をはりあげる。そして他の班員もいっせいに「プレイ、プレイ!意味は遊ぶ!」とくりかえす。
このあと読書やドミノゲームなどですごした。
高床式校舎となりの鉄筋コンクリートづくり二階建て校舎の図書室(一階)にあつまった三・四年生たち。全員で「あいさつの歌」をうたってから読書がはじまった。どの子もおそわったとおり、左手で本の背表紙あたりをもって音読している。三十五分間でひとりあたり二〜三冊読んだ。
前回紹介した「知恵おくれ」という男の子も一所懸命に絵本を読んでいる。というより、熱心に絵をながめている。それだけでもとてもたのしそうだ。
読書がおわると、ニッタヤー先生が白板にニワトリの絵をえがきながら物語を話してきかせたり、あたらしい歌「さようなら」などをおしえた。だが昼食前で子供たちはおなかがすいているのか、今ひとつ元気がない。
「みんな、きょうはどうしたの?まだご飯をたべていないのにもうねむいのかなあ。それでは眠気がふきとぶ歌をおしえてあげよう」
そういってニッタヤー先生は「ねむたくなっちゃった」という歌をうたいだした。
ねむたい ねむたい ねむたいな
体操してごらん
体操すると 眠気がふきとぶよ
体操すると 眠気がふきとぶよ
ねむたい ねむたい ねむたいな
うたってごらん
うたってみれば 眠気がふきとぶよ
うたってみれば 眠気がふきとぶよ
子供たちはうたいおわるとたちあがって背伸びをした。ニッタヤー先生が子供たちにたずねる。
「まだねむいかな」
「いいえ、もう眠気はとんでいきました」
「はい、よろしい。ではもう一度『さようなら』の歌を練習しましょう」
午前十一時十分から十五分にかけてふたたび全校児童が高床式の校舎の下へあつまった。「ムー・ムック・クン(豚・インク・えび)」の早口ことば(『九六年六月十二日(水)・午前・ドーンハーン小の項』参照)であそぶ。二十人ぐらいの男女がかわるがわる前へでて挑戦するが、ほとんどの子が口がうまくまわらず、じょうずにいえない。つっかえるたびに、すわって見ている児童たちは大爆笑。男の子ひとり・女の子ふたりの三人だけがまちがえずにいえた。ニッタヤー先生がこの三人へ鉛筆を一本ずつごほうびにあげた。
「早口ことばはむずかしいけど、たのしかったね。さあもうお昼です。手をきれいにあらってから食事にしましょう」
ニッタヤー先生が「手をあらおう」の歌を指導。子供たちは三回うたい、解散した。
杉浦 直樹
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