タイの花木走獣
パン吉の夢 28
パンの話を続ける。
一九九七年の新年の旅の下見のついでに、チェンコーンの彼の村に足を運んだところまで書いた。
これがパンの建てた家だ。
ソムチャイが指した家は煉瓦つくりだった。コンクリートの目地の中に赤煉瓦がかなり散漫な様子で浮いている。
急いで造ったからだろう。
上に馬鹿がつくほど、丹念な仕事ぶり、掃除ぶりを知っている私には、せっかくの自分の家をやっつけ仕事で終わらせなければならなかったパンが哀れに思えた。
ゆっくり煉瓦を積ませなかった雇い主の自分にやましささえおぼえたほどだった。
痩せた顔に前髪をウッドストック鳥のように立て、パンがあらわれた。陽にやけて、そばかすの浮かんだ顔が笑みでほころんでいる。
これがあんたの建てた家なの。
大声で叫んで、誇らしさをひきだした。
まぁ、お入りください。
床には花模様のリノリウムが敷かれていた。その上に座って、天井を見上げる。
そのまま、屋根組が見えるつくりである。
「天井はうたなかったのかい」
ソムチャイの声に、とてもそこまではと、手をふるパン。
私は窓が気になった。
その家には、正面に四つ、側面に二つづつ、窓が開いていた。
コンクリの中に躍るように置かれた赤煉瓦の乱調メロディを正して、木枠が嵌まっている。
ああ、これなのね。
パンを泣かした窓枠は。
金を払わないからと言って、持っていかれてしまった木枠である。
木枠の中には木の扉が嵌められていた。
木の扉は長持ちするが、暗い。
木枠の上に細長い明かりとりがあった。ここにガラスが入って始めて、雨風の吹き込まない明かりとりになるのだけれど、パンの明かりとりには、まだガラスは入っていなかった。
帰りがけに、私は千五百バーツを置いた。
「これであそこにガラスを入れなさいよ。そう、ここらで売っているのなら、模様のついた色ガラスがいいわ」
緑の模様ガラスは朝日夕陽を通して、どんなに美しい光でこの家を満たすであろう。私はパンの家を祝福したかった。
会社の名で、ソムチャイは三千バーツおいた。
パンに何が欲しいかときいたら、家の前を高くするのに、河砂を買いたいと言う答えが返ったからである。
これでやっと道路より低い家でなくなるのね。
つづく
レヌカー・M
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