ミャンマーの素顔

◇◆◇第一話 幽霊◇◆◇


恐い恐い、幽霊とミャンマーの喫茶店

ヤンゴン市内ミニゴン地区にある信号のそばに、ダゴンビルという四年前に完成したビルがあります。シュエゴンダイ交差点、ミニゴン交差点はヤンゴン市内では特に大きな交差点で交通量も多く一日中渋滞状態です。近くにはバス停もあるため、表現は悪いですが、ウジャウジャ≠ニ人が居ます。当然、その辺りでの客商売は大繁盛です。食べ物商売をしている店は特に人がいっぱいです。

 しかし、そんな中でダゴンビルだけは開店休業状態。シャッターが閉まったままなので、「せめて飲食業でもやれば儲かるのに・・・・?」と前々から不思議に思っていました。そして、先日、私のスタッフに「ダゴンビルのレンタル料はいくらか聞いてきなさい!」と指示したときに、やっと事情がわかりました。

 スタッフ:「絶対、やめた方がいいですよ!」

 わたし:「なぜ?」

 スタッフ:「幽霊が出ますから・・・・。」

 よくよく話を聞いて見ますと、一時はその幽霊が街中で評判になり、見物客でごった返していたそうです。結構、我々と同様、恐がりなミャンマー人も、恐いもの見たさに、人、人、人。日本と違うのは話題が少ない国なのでこの手の話は打ってつけの話の種です。俺も俺も・・・、私も私も・・・、こんな具合で、みんなが野次馬となり、人でいっぱいになります。

 こんな事情でテナント希望者が全くなくなり、開店休業を余儀なくされているそうです。迷信とか、親兄弟の話とか、ミャンマー人は人の話を本当によく信じます。そして、これらの情報の発信地となるのが、ミャンマー国内のどこかしこに存在する喫茶店です。一杯三十五チャット(約九円)でお茶を飲み、長時間粘りに粘り、聞き耳を立てあらゆる情報を収集するのです。

 先の幽霊の話もしかり今のところ競争している店は余りありませんが競合店をつぶすのに刃物は要りません。そうです、噂を流せば一発です。

 そういえば、昔ダウンタウンで五百チャット札の偽札があるとの噂が広がったとき、どこの店に行っても五百チャットは受け取らなかったそうです。この手の情報はビックリするほど広がるのが早いです。一日もあれば、誰でも知っています。

 恐い恐い、幽霊と、ミャンマーの喫茶店。




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