ミャンマーの素顔
ミャンマー VS カンボジア (3)
アンコール・ワットとパガンはどっちが凄いか
カンボジアのアンコール・ワットとミャンマーのパガンは、共に世界三大仏教遺跡です(あと一つはインドネシアのボロブドゥール)。これを対決させるというのは恐れ多いことです。また、それぞれに全く違う魅力のある遺跡なので、甲乙つけることは遠慮させていただきます。この項では、それぞれの魅力を紹介させていただきます。
圧倒的に知名度が高いのはアンコール・ワットです。最近はバンコクからシェムリアップ(アンコール・ワットがある州)まで直行便が飛んでいます。プノンペンに本拠を置く旅行会社の人は、プノンペンにお客さんが来なくなったと嘆いていました。アンコール・ワットというのは十一世紀に巨石を積み上げてできた寺院で、最近の外国からの修復援助のおかげで、現在は元の形に近いと思われる形を取り戻しつつあります。
アンコール王朝は九世紀から十三世紀に渡り栄えていたわけですが、十一世紀から十三世紀初頭にかけて、寺院群が造られたと考えられます。アンコール・ワットは寺の町という意味ですが、アンコール王朝の中枢をなしており、建築技術や壁面彫刻はアンコール芸術の粋を極めています。すぐ隣にあるアンコール・トム(大きな町という意味で十二世紀末頃造られた)と共に、鬱蒼と茂る森の中にゆったりと静かに佇んでいますが、その巨大な石でできた姿は、まさに圧巻です。貴重な文化遺跡が何世紀にも渡って盗まれ続けてきたのはご存知の通りですが、大変残念なことです。十四世紀から十五世紀にかけて、アユタヤ王朝との戦争の際に、戦利品として持ち去られることもあったようです。現にミャンマーのマンダレーにあるマハムニ・パゴダには、アンコール・ワットから三百年以上前にアユタヤ王朝経由で流れ流れてきた像があります。アンコール・ワットの魅力を簡単に言うのは大変難しいことですが、クメールの微笑と呼ばれる巨大なバイヨン像に代表されるように、荘厳な迫力にあるでしょう。
さて一方、ミャンマーのパガンですが、この遺跡群は主にパガン王朝時代の十一世紀から十三世紀くらいに造られたものが多く、大小二千以上のパゴダや寺院の遺跡があります。巨大さではアンコール・ワットに劣りますが、一面に絶え間なく広がる遺跡群は、やはり圧巻です。夕焼け時や朝焼け時に少し高台に上ってみると、ウットリとするような古都が目の前に現れます。イラワジ川の水と土で作ったと思われるレンガで造られています。ここはイラワジ川に面していますが、ひどく乾いた土地なので、遺跡の風化が激しい。修復も、現在はあまりなされていない様子で、白い壁が剥げ落ち、赤い朽ちたレンガが至る所に見えています。
パガンの悠久たる遺跡群には、ミャンマー人の参拝客及び観光客も地方から集まり、現在に至るまでも、市民の信仰の拠り所となっています。パガンのシュエジゴン・パゴダとローカンナンダ・パゴダ、そしてイラワジ川の対岸にあるタンジー・パゴダ、この三つのパゴダすべてに早朝から正午までの間にお参りすることができれば、願いが叶うと言われています(普通はこの中のシュエジゴン・パゴダしか観光ルートに入っていませんが)。つまり、これらのパゴダや寺院は、いまだ生き続けているところが、何よりも凄いところです。
この項は、思わず、ガイドブックしてしまいましたが、是非この二つの遺跡をご覧になってほしいと思います。さて、対決結果です。「比べたのは間違いだった。どちらも凄い!」
美山 花子
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