ミャンマーの素顔
黒い霧
毎日毎日、エアコンの効かないタクシーでウロウロしている私にとって、三種の神器は、事務所と携帯電話とエアコン付きの車です。今のところ三種ともありません。
その中でも、エアコン付きの車は、ヤンゴン市内を駆け巡るための必需品です。どこかの国の本に「ガーデンシティー・ヤンゴン」「ゴールデンランド・ミャンマー」などと書かれていたようですが、そんな言葉は全くのウソッパチです。排気ガスと騒音と停電の町ヤンゴンです。
ホテル住まいの私は、ジェネレーターのお陰で、時々エレベーターに閉じ込められることはあっても、そんなに問題ではありません。しかし、ホテルの立て付けが悪いこともあってか、外の騒音がうるさくて安眠できません。
そして、あの排気ガス。一日大体四時間くらい走り回っていますが、仕事を終えてホテルに帰り、手や顔を洗いますと、真っ黒の汁が滴り落ちます。こんなにひどいとは思いませんでした。ヤンゴンは右側通行ですので、後部座席の右側に座ります。したがいまして、走行中は顔の右半分が汚れるわけです。驚いたのは、右の耳が真っ黒に変色しているのです。風をまともに受ける右の耳は、中まで耳掻きで掃除すると、真っ黒な耳垢が取れます。左の耳は大丈夫です。毎日真っ黒な排気ガスを吸っているかと思うと、ゾッとします。そう言えば、肺炎の人が多いそうです。それもそうです。走っている車は日本では買い手のない車ばかり。
「早く排ガス規制をしないと」と私。「それ、なんですか?」と学生。幸福な人達です。
痒い
ここ二〜三か月、全身、特に顔が痒いのです。痒いので少し掻くと、湿疹ができます。それも決まって同じ場所です。治ったかなと思うと、また出てきます。
今までにも人の話で、「掻いた跡が残り、斑点のようなものが増えて困ります」と、いろいろな人から聞いていましたが、いざ自分がそういう目にあうと、かないません。この原因は虫ではなさそうです。友人の娘さん(四歳)もアトピーのようになっており、訪問したおり、いつも手足を掻いています。かわいそうだなと思っていましたら、自分も、また同じようになってきたので心配しております。「虫でないなら何だろう」。考えられることは「水」です。四月の水祭りのおり、汚い水をかけられ、見る見るうちに左手全体に湿疹ができたことがあります。
それと前の文章でも書きましたが、黒い霧が充満しているヤンゴンを、車で走っているときに入ってくる排気ガスのたぐいのせいではないのかなと思われます。時々、エアコン付きのタクシーを手配し、快適に移動した日は、気のせいか、カユミがありません。雨季に入り、ホテルの部屋の中まで虫が発生することも、三年目になりますと、あまり動揺しませんが、まあ、とかくわからないことが多すぎて、いかに情報通でも困ります。
しかし、経験したことは偉そうに、「六か月も雨季があるので、虫も病気もたくさん出ますよ」「停電が多いので、クーラーが効かず、衣類はカビますよ」「ゴルフ場のラフには、ヘビも、噛む赤蟻もいますよ」「そうそう、ヒルに気をつけて」などと、結構経験したことをお話しているつもりですが、忘れることも……。
ゴルフ仲間のIさんが、五月の連休中、他のメンバーとラフに入ったボールを探しているとき、大きな木の下へ。降り注ぐような小さな虫の落下に、首や腕など、十数か所の湿疹ができています。私もなったことがあると言うと、「なぜ早く教えないの?」。
美山 大助
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