アジアの風に恋をして

素足のミャンマー


 先月末、ミャンマーに初めて行った。

 OVTA(海外職業訓練協会)の派遣事業で首都ヤンゴンの日系企業で能力開発訓練に努めている日本人従業員のHさんの状況調査や地方での日系企業の情報収集、それに主たる目的のOVTA事業の説明会実施のためである。タイの隣国ではあるが初の入国であり数日間ではあったが、強烈な〃異文化ショック〃を受けた。それで、ミャンマー国と人を独断と偏見で報告する。このことをまず断っておきます。  


 〃黄金の国〃(THE GOLDEN LAND)の看板が空港を出て目に入った。私は、初の印象を手帳にメモしていった。次のようにメモが続く。  「清潔な空港内、質素な感じ、英語文字標識多し、町中の色が淡泊、中古の自動車、日本車でクーラー無し、日本語社名付き車、すし詰め小型バス、オートバイ無し、三車線、暑い、緑の公園、皆ロンジー(腰巻きスカート)とゾウリ…」


 首都ヤンゴンでの仕事と車での移動、第二の都市マンダレーにある日系企業先での視察等を通してミャンマー国の人と町中の生活の様子を垣間見ながら〃異文化メモ〃が、次々と書かれていった。とに角、ミャンマーは、顔を上げれば、パゴダが目に入ると思えた。

 タイと同じ小乗仏教徒の国。大都会バンコクでは、パゴダに代わる寺は、高層ビルに隠れて見えない。ミャンマーの首都ヤンゴン市では、高層ビルは見られない。車を走らせればパゴダが目についた。ヤンゴンを象徴する世界一の黄金のシェダゴンパゴダがあらゆる方向から顔を見せる。ミャンマー人は、一日中パゴダにお祈りし寄進して暮らしているようであった。外国人観光客の行く先は、ほとんどが歴史ある。〃パゴダ周遊コース〃。必ず、外国人は、四、五米ドル前後の拝観料を行く先々で取られる。これは、相当な出費となる。

 「なんで、外国人だからといってそんなに取るの?」といった不満の声が出てくるのも事実。パタヤやプーケットといった感じのリゾート先が未開発。夜のパッポンやタニヤやマッサージ屋があるわけではないし。おっと、敬虔な小乗仏教徒の国ミャンマーのことの報告でしたね。パゴダとともに生活を基盤とするミャンマー人は、保養地や夜のネオン街は不要なものなのでしょう。朝、昼、夜と楽しみは、あくまでもパゴダの回廊前で素足になり仏様の前でお祈りをする事なのでしょう。私は、パゴダに足を踏み入れる度に、高い拝観料の米ドルを払い靴を脱ぎ靴下をとる繰り返しをさせられた。「また裸足にならなくちゃならないの?」。案内してくれた日本人従業員の方につい、不満の一言も口ばしってしまう不謹慎な私となりました。そんなことをパゴダの前で言ったら罰が当るのに…。

 私は、パゴダと生活を密着するミャンマー人が、なぜ靴を履かずにゾウリを履いているのか、なんだかわかるような気がしました。素足でゾウリならば、簡単に回廊へ出入り出来ます。靴を脱ぎ靴下をとる手間が省けます。私は、ミャンマー人は、男女関係なく足の裏の肉厚と硬さをなんとなく見てとりました。悪いですが、女性でヒールの似合う或いは、履ける〃ミズ・ミャンマー〃はいるのでしょうか?。もち論、ミャンマー航空のスチュワーデスさんもゾウリです。

 輸入規制でほとんど街中では新車や外国車は目に入りません。集会を恐れるミャンマー軍事政権は、大学も現在休講をさせています。街中では、職のない市民がブラブラしています。英語を話し識字率の高い国民なのにもったいない気がします。市場経済化の道は遠いようです。市民は、朝に昼に夜に憩いを求めてゆったりした敷地内のパゴダに身を寄せます。来世の幸せを祈り身を清めます。私は、ミャンマー人が昔も今も一生懸命していることは、素足になりパゴダの仏様に祈りミャンマー紙幣を寄進することではと思いました。     

(OVTAタイ事務所所長)
開原 紘


[BANGKOK SHUHO]