アジアの風に恋をして
生活激変?
高架鉄道=別称スカイトレイン号に試乗した。
今月五日、六日の両日にわたり同号の事業主側であるバンコク都庁とBANGKOK MASS TRANSIT SYSTEM CORP(BTSC)社が試乗希望の市民を招待し実施したもの。
これは、来月の五日、プミポン国王の七二歳の誕生日を祝して出発進行される前に、市民向けに無料乗車とPRを併せた企画である。
私は、昼と夜の両方に試乗出来る券を得た。夜は、用事があったので六日(土曜日)の午前九時半にソイ二三の住まいの最寄駅である「アソーク」駅から乗った。
駅舎は、まだ一部工事がされていた。日本の小都市にある小さめな駅舎風に思えた。作りたてなので、すべてがおニューでフレッシュそのものの印象であった。
高架鉄道なのでプラットフォームまでは階段である。「生活食品を手に持ち、上り下りが大変では?」と初の感じ。まして、階段の両側は美観作りを主としたためか風雨よけが十分ではない。これでは、「雨期の頃は利用者は減るのでは」、と余計なことで心配になる。
さて、アソーク駅を通る路線は、スクンビット線。ソイ八一のオンヌット駅と北バスターミナルのモーチット駅間の十七キロ、十七駅。もう一つの路線は、シーロム線。これは、チャオプラヤー川方面に向かいサトーン駅から国立競技場駅間の六、五キロ、七駅。
幅三メートル、長さ二十二メートル車両が三両連結。一車両に二四五人以上乗車オーケー。二・五分間隔で一時間に二・五万人の輸送能力を持ち一日六十万人以上の市民に利用できる。大掛かりな新交通システムが、遂にバンコクに誕生する。
私はデジカメとコンパクトカメラを手にし期待して乗り込んだ。以下、初車内での見たままである。
(ドイツ製)車内は、明るい。両側に黄色の各座席、車内通路は赤色のビニール製吊革。スモークガラス。エアコンの調整もグッド。いかにも通勤車両らしく開閉ドア付近は混み合ってもいいようスペースが十分ある。スースーと走るのはいいが、ちょっとブレーキがきつめに思える。それで、つんのめる。車両を運転する運転手は、コンピューター操作を知る高学歴者と耳にする。が、どうも、自動車風な運転操作を感じる。一工夫して欲しい。開閉ドアのスピードが速い。現に、私の目の前で家族連れの子供が降りた途端にドアは閉まった。親らは車内に。父親は大声で、「次のに乗ってこい」と血相変えてプラットフォーム上の子供に叫んだ。私は、お年寄りや電車の自動開閉になれない市民が、この自動開閉のリズムを知らないで乗ると、はさまれたり、無理矢理こじ開けようとして事故を起こし列車運行に支障を来す恐れを感じる。なにせ、市民の足のバスにしても、タクシー、トゥクトゥクにしても、バンコクではコンピューター化されて自動開閉する乗車物の経験を誰もしていないのだから。いよいよ、当地に、機械化によって生活行動の規範がされる時が、来たといっても言い過ぎではないと思えた。
車内を見渡した。ケガしなければいいのだが、と思える箇所を見つけた。車両を連結しているすきまである。タイ人は、ぞうり履きが多い。子供が面白がって連結板の周辺にいたとすると、揺れた瞬間にすきまにぞうりがはさまれたりしないかと…。あって欲しくないことだ。
それにしても、大渋滞でいつもうんざりしていた私を嬉しくさせてくれたのは、目的駅まで規則正しく五分、十分といったタイムスケジュールで行けることを実感したことである。私は、重要なアポの時は絶対にこのスカイトレインに乗る。確実だから、それに、この高架鉄道は、新たに車内で情報交換できるスペースと時間を市民にもたらしたと思う。バスの中で五人六人とそろって声高におしゃべりしている図は今まで見られなかった。が、この電車の中では、走る騒音もほどよくて、かたまっておしゃべりをしていても耳障りでない。但し、携帯があっらこっちで鳴り出したらちょっと問題であるが。いずれにしても、タイにスムーズな生活のリズムと新しい情報社会の場をもたらしたのが、この高架鉄道の出現の相乗効果ではないかな、と揺れを感じる車内の中で思った。
(OVTAタイ事務所所長) 開原 紘
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