アジアの風に恋をして
考察---人材育成
APEC(アジア太平洋経済協力)人材養成技能研修事業がタイ国で二年間にわたり行われこの度無事終了した。この事業については、私は当コラムで二度程書いた。(九八・三・二〇号「研修即売会」、九九・四・三〇号「APEC研修」)。日本の担当官庁である労働省のバックアップのもと、この事業は〃成功〃したと結論づけたい。事業に賛同し強力してくれた日系企業へ感謝を込め最終レポート(?)としたい。その前にもう一度、当事業について説明すると、
「対象国は、OECDの開発援助委員会(DAC)が指定する開発援助対象国で地域は、チリ、中国、インドネシア、韓国、マレーシア、メキシコ、パプア・ニューギニア、フィリピン、タイ。当研修実施対象企業は、社内研修の実績を有し、施設の企画指導体制等からみてこの研修を実施する能力を有すると認められるものとして、二年間の援助対象期間に適切な研修計画を作成し、社外の現地住民を研修対象者とすることが条件とされる。労働省予算から、研修施設・設備、機器、教材、研修指導員、受講者募集といった各種の経費が当てられる。そして、地域住民の職業訓練を協力実施することでAPEC域内の人材養成に貢献することを目的とする」。
一九九七年四月に開始したこの事業に現地法人の六社がかかわってくれた。
・シャープ(カラーテレビの製造、販売)カラーテレビの検査、修理の実習研修。
・トヨタ(自動車輸入・組立・販売) ディゼルエンジン、ドライブトレーン&シャーシ、エンジン&ボディー電気装置、ガソリンエンジン燃料・噴射装置、パワーステアリング&オートマチックトランスミッション研修。
・ダイキン(空調機器、圧縮機製造)空調機器サービス技術、空調機器システム設計、ロー付け溶接技術研修。
・キャノン(複写機、バブルジェットプリンター製造) 電気技術基礎コース、機械技術基礎コース)。
・新日鐡(自動車部品用鋼管製造)機械修理作業研修。
・岡谷鋼機(オートバイ及び自動車用部品製造) 電気修理作業研修。
六月に入ってから労働省職業能力開発局海外協力課の係長とOVTA本部のAPEC事業担当者が当地に来た。五月初めに甘利労働大臣が来タイした際、右記の日系企業の代表者らとAPEC人材養成事業について懇談会があった。大臣はこの事業の意義深さと大切さを再認識にされたとのことであった。それで、〃アフターケア事業〃の可能性を探る二人の調査ミッションであった。
六社合わせて七五〇名(内女性十八名)の首都バンコクから離れた地域住民が、研修を受け育っていった。アンケートには、こうした研修は生れて初めてと書いた人もいれば、大学の認定書と同様に評価して欲しいと訴える人もいた。多くの研修生が期間の延長や再度の研修チャンスを願っていた。また、研修の受けられなかった同僚へ身に付けた研修技術、技能を早速教えたいという、普通他人に教えたがらないタイ人特有の感覚とは違った答で意見を書いている人もいた。余程、研修内容が良かったのだろう。この時期、このタイ国にとっては、人を育て技能・技術を磨かせることは重要課題の一つと日系企業のトップから私は耳にしている。OVTAタイ事務所として、なんとか〃APECその後事業〃をやっていきたいところだ…。
(OVTAタイ事務所所長) 開原 紘
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