アジアの風に恋をして
続、危機管理
私は、昨年七月二十四日号の当コラムに「危機管理」と題する一文を書いた。日本商工会議所の渉外広報委員会主催により「セキュリティ講座」についての乾燥内容であった。〃危機管理業〃を専門職業とする日本人講師氏は、タイ国が決して安全なランクに位置してないと言い、日本人相手の事件事故の多さを統計数字で話された。私は、我が身に降りかかる災難が、タイ国では日常の生活にあることを改めて思い知らされ怖さを感じた。そのことを当コラムに書いた。その末文に私は、「もう一度、気を引き締める姿勢が我々に必要なようだ」と記した。
やがて月日もたち年も改まった。私は、あの時の「危機管理」の〃身構えの緊張感〃もすっかりなくなり忘れてしまっていた。そんな矢先、日本人会から定期刊行物が送られてきた。その中に、「安全対策連絡協議会 特別講演会開催のご案内」と書かれた一枚ペラがあった。日本人会の「安全対策連絡協議会」が主催する案内通知だった。以下の通りに書かれていた。
「当安全対策協議会は、在留邦人の安全を確保を図ることを目的として一九九二年に設立された大使館と民間団体(タイ国日本人会、盤国日本人商工会議所、泰日協会学校、国際協力事業団)との安全対策に関する協議のための組織であります。この度、セーリー・テーモヤウェ警察長官補をお招きして以下のとおり『安全に関する特別講演会』を開催いたしたいと存じます。以下略」。
定員百二十名で申込先着順とあったのですぐにFAXの申込をした。講師がタイ人でしかも警察官僚ということもあり興味を持てた。
親戚に日本人を持つと切り出した長官補氏は、静かな話し振りのいかにも警察勤務らしい実直さを感じさせる方だった。タイの警察行政についての話は、私はさほど興味を引かれなかった。が、日本人や観光客を相手とした事件事故の事例話は、思わずメモを取らせる内容であった。その幾つかを、読者の方にもお伝えしたい。
一、(観光の日本人を含めて)外国にいることの認識不足が事件事故に繋がる。
二、ホテルの部屋の施錠も安全でないことの認識をすること。合鍵での事件発生。
三、盗難事件多発。路上やタクシー、偽ガイド等の強盗。夜の女性のぶらぶら歩きは要注意。
四、人の前では、札びらを見せない。
五、警報装置や犬を飼う。また、隣人との常日頃からの良い関係の大切差。
六、塀際での見知らぬ車に注意。塀を乗り越えての事件あり。
七、使用人は、身元が確実なこと。なにあった場合警察は追跡出来る。
この他、クレジット犯罪やビジネス上での詐欺等、日本人をカモとする事件事故の犯罪プロは、終始狙っていると言う。こした事故事件を少しでも自分で防ぐには、長官補氏が口にした以下の至極当然な守りしかないのかもしれない。それは、「五分ごとに意識を改め、スキある態度を見せないこと」つまり、自分がきちんとすることだそうだ。
一九九八年十月一日現在、日本大使館の資料ではタイ国内の在留邦人数は二二、四八一名。バンコク市には一七、八〇九名が在留届を出している。
タイ政府観光庁(TAT)は、昨年タイを訪れた外国人旅行者の中では日本人が最も多く、前年比一・〇%増の九十八万二千百十六人。これは外国人旅行者全体の一二・六%に当る。(バンコク週報)」と発表している。ひれだけ多くり日本人がタイ国内にいるわけで、事件事故に合っても不思議でない。やはり、この文を終えるに当たって、「危機管理」の末文に書いた。も一度、気を引き締める姿勢が我々に必要なようだ〃を引用したい。
(OVTAタイ事務所所長) 開原 紘
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