アジアの風に恋をして
正月休暇
千葉・幕張にあるOVTA(海外職業訓練協会)本部での「海外事務所所長会議(毎年一月初め)」に出るため、私は、正月休暇を兼ねて日本に帰った。一年振りに目にし肌に触れた日本は、寒い気温はもちろんのこと暑いタイとの違いであった。例えば…。
・商品の豊富さと見事な接客
デパートにしろスーパーにしろ或いは個人商店にしろ、商品が豊富である。買いたい品物が確実に揃っている。なくても数日後には、取寄せてくれる。客のニーズに対応できる日本の底の深い在庫管理と流通システムには、タイからみると本当に感心する。景気低迷の真っ只中にある日本である。が、そこそこの消費力はまだまだ捨てたものではないようだ。「いらっしゃいませ、ありがとうございます」の〃商人道語〃は、どんなお店からでも聞かれる。タイでも、タイ語のありがとうございますは、聞かれることは事実。だが、タイ人店員は、例え日系デパートといえどもペチャクチャおしゃべりに夢中で客への対応はおろそか。レジを打ちながらのピーチクパーチクは、ちょっと腹立たしく感じる時がある。日本の接客教育が、世界に冠たるものだからだろうが、タイでのタイ人店員の態度をどうしても比較してみてしまう。
・カセットよ今いずこ
タニヤ街の女の娘から日本の女性演歌歌手のカセットを買ってきてと頼まれた。簡単に手に入るものと思った。が、ない。あることはあるのだが、ずーと以前の演歌のもので彼女が所望した最近のものではない。五、六店当たったが、なかった。一、二年前のはやり歌はカセット版で作っていないようだ。家族での話しでもわかったが、一般的にカセットで聞いているのはまれとか。MD(ミニディスク)かCD(コンパクトディスク)といったディスク盤で聞ける機種用に取って代わっている。そういえば、どのレコード店でもカセット販売コーナーは、隅の隅においやられかろうじて売られているおもむきであった。タニヤの女の娘との約束もある以上、高校生の娘の協力のもとCDからカセットへコピーしてのお土産となった。
・映画「踊る大捜査線」
「テレビドラマの映画版と侮るなかれ。すでに四百万人が劇場に足を運び、配給収入も四十億円に達する勢いで、アニメを除けば邦画史上ベスト5に入る大ヒット(踊る日本映画界・十二月十五日付け毎日夕刊)」との記事を読んでいたので十二月の末日、千葉市の映画館に行った。午後二時から入ったが、立ち見も出るくらいの大入り。日本映画上演にしては珍しい客入りであった。客層は小学生から大学生それに家族連れ。若手の人気俳優織田裕二や中年期の柳葉敏郎それに老年期のいかりや長介といった顔ぶれ。湾岸署の一兵卒刑事(織田)と警察庁キャリアの刑事管理官(柳葉)、退職寸前のベテラン刑事(いかりや)それに女刑事らが事件現場でおりなす現場と本部の捜査感覚の違い、階級によるたちはだかるカベ、辞表を机にしまっての所轄署生活、伝票処理に見る警察といえどもサラリーマン社会の様子といった点をアイロニーを込めて実際の私たちの社会生活とだぶらせて見せてくれる作品。それで、日本人全般にも受けるのだろう。新年を迎えても益々邦画界の中でトップを踊り続けているようだ。
(OVTAタイ事務所所長) 開原 紘
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