アジアの風に恋をして
タ バ コ
私は、二十代から三十代前半にかけ一日四、五十本のヘビースモーカーだった。吸っていておいしかった(と思う)。
なぜ、吸わなくなったかは、風邪で喉が痛くなった時吸うのをしばらく止めていて、それで自然とタバコに手を出さなくなったからである。もち論、「吸おうかな吸いたいな」の止める止めないの〃精神的葛藤〃は、しばらくの期間毎日あった。が、どうせなら「吸うのを止めてみるか!」の強い意志が、結局は、勝ったことになる。今では、タバコの臭いが大嫌いである。喉が痛くなるし、部屋の中や会議室に充満したたばこのヤニに臭いは、息苦しくなる。
昨年九月十八日号の当紙に、「タイ日交流作文コンテスト」入選作が出ていた。入選者の一人で日本語専攻のチュラルコン大の女子大生が、「日本人は」のインタビューに次の様に答えている。
「日本人は好きです。時間を守り、何をするにも一生懸命に取り組む姿がすばらしいし、仕事も上手。第二次世界大戦から短い時間で立ち直り、高度経済成長を続けていることもすばらしいです。しかし日本人男性でタバコを吸う人が多いのには閉口します。友達がNHKに研修行ってますが男性は全員タバコを吸うそうです。彼女はそのことが一番いやだと言ってます」
私は、この女子大生の発言と同じ意見を直接耳にしたことがある。 昨年、チュラルコン大、タマサート大、タイ商工会議所大の日本語クラスで将来の就職先について意見を聞く機会があった。その時、ほとんどの〃日本ファン〃の彼氏彼女たちが、日本人のタバコ好きを口にした。いつのまに、日本人(男性)イコール喫煙者のイメージが定着してしまったのか、である。臭いが悪く体にも悪いと言う。私は、タイ人はタバコ好きと思っていただけに、エリート学生が、アンチ・スモークを口にして言うことにちょっと驚きであった。こうした意識の強い学生からみたら、タバコを吸わないオレは尊敬されるかもと思ってもしまう。
十二月十一日付けの時事速報にタイの喫煙者について以下のように出ている。
「現在の喫煙人口は、千百万人で十六歳以上の男性の六割以上が喫煙、女性は五%。喫煙からの死亡者は、年間四万人以上で十五から二十年後には八万人に増えると予想。また若者の喫煙が増える傾向。消費税局の情報によれば、タバコ公社の昨年のタバコ売上高は二十三億千六百万箱、輸入タバコは約一億箱」
昨年十一月五日からタイ保健省は、「国産タバコ・輸入タバコを問わず、パッケージに喫煙の害をタイ語で明記する」として、黒の背景色に白抜き文字で、「心不全、脳内出血、性的不能の原因、おなかの中の赤ちゃんに害」といった警告文をプリントした。
その後のタバコの売上げの状況については、まだ私は、把握してない。が半年後、一年後どうゆう数字となって出てくるか興味がある。 ところで、私の知り合いの女子大生は、バックにタバコが入っている。「タバコは(特にタイ女性は)吸ってはだめでしょう?」と聞いたところ、「友達は皆吸いますよ」。さて、前半部分で紹介した学生の〃タバコ論〃については、結局何だったのか、本音と建前のタイ人気質の一面として考えてしまっていいのか、悩んでいる…。
(OVTAタイ事務所所長) 開原 紘
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