アジアの風に恋をして
開 会 式
五〇〇〇バーツの大枚をはたいてアジア競技大会の開会式を見た。VIP席といわれたので相当いい席で見られるのかと期待した。が、予想とは反対に、かなり上段の席となった。選手らの顔が近くで見られる〃いい席〃は、政府や組織の関係者グループで占められているようだった。
ファマーク会場には、直接車での乗り入れができなかった。会場からかなり離れた数箇所に臨時の駐車場が設けられた。そこからシャトルバスに乗り込み会場入りとなった。ついでながら言うと、タクシーも会場までは入れないと聞いていた。が、実際には走っていた。帰りは、どっとあふれた人々で混乱するシャトルバスを待ちきれずに、私は会場前を通るタクシーをつかまえて帰路につく手段をとった。タイ風の情報のいいかげんさとマイペンライの風土が実感できた思いだった。
さて、六万人余の観衆は、三時間近くの開会式の中で感動と興奮(?)にひたることができたのではと思う。が、私自身は、さほどの感動も興奮も呼び起こされなかった気がする。オリンピックのハデハデの開会式のTV中継を見なれた私には、会場で直接目に耳にする今回の開会式の様子は、余りにも盛り上がりに欠けていたように思える。というより、出費を押さえての地味めの式典に思えた。また、ちょっとだらけた感じもした。日本式時間の刻み方で式典の進行と演出を組み合わせる日本人の几帳面的感動好き的性格から、どうしてもタイ風時の観念と場のとり方に差を感じてしまうのかもしれない。これも、私が実際に会場にいて周囲を見渡しナマの音を聞けるからそう思えるのだろう。これが、もし家でテレビを見ながら式の流れを中継するアナウンサーのしゃべりのテクニックと画像の遠近の切り替えのうまさにひきつけられているとタイ風とはいえ感動的になってくるのかもしれない。
今回のような国際的ビッグなスポーツ・イベントの開会式を直接会場で見聞したのは、私は初めてである。家でテレビをつけての毎回であった。会場では、テレビが映し出す場面以外が常に目にはいってくるし腹に響く演奏がテレビの音からでは味わえない迫力となって耳に残る。これが、家で寝転がって見るのと実際の会場で見るのとの大きな違いといえる。
私が、アジア競技大会の会場から見下ろして印象に残った〃出し物〃は、黄色や赤や青色の衣装姿で元気よく駆け回る子供たちの姿だった。日本の運動会で見るような感じで日本の低学年齢児童がやっている風に見えなにかホットする雰囲気を私に感じさせた。
この開会式で記憶に残るハプニングがあった。五人ものプラカード嬢が暑さと疲労と緊張からか式典最中にバタバタと倒れ医務室に運び込まれるシーンが十分余りの間に続けざまに起こったことである。なにわともあれ、タイでのアジア競技大会が無事成功裏に終ることを祈りたい。
(OVTAタイ事務所所長) 開原 紘
|