元エリート警察官が台湾人実業家を誘拐・監禁、 身代金三千万バーツを要求


 今月五日午後二時半、バンコク市内の警察が、チャランクルン通りにあるトーンタラー・ホテル十一階一一一四号室を張り込み、近くの出入り口を全て包囲した。

 台湾の領事部高官から、誘拐されこの部屋に監禁されている台湾国籍の実業家を救出してほしい、との依頼があったためである。  一部の警察官はホテルのハウス・キーパーに扮装し、犯人に悟られないように注意深く見張った。

 扮装した警察官が、一一一四号室のドアをノックすると、一人の男がドアをそっと開けた。その瞬間を逃さずに、廊下に待機していた他の警察官達が部屋に入り込み、二人の犯人の頭にピストルを突き付け身動きできない状態にし、その間に他の警官は、誘拐された台湾人実業家で、登録資本金が二億バーツにもなる「サン・ユニティー社」のオーナーであるチー・ジョンさんを無事救出した。

 犯人の一人は、元警察中尉のクリッサナ(四五)。もう一人は、台湾国籍のスー。

 その後警察は、ホテルの駐車場に停めてあった、犯行に使われたマイクロバスも証拠品として押収した。

 通訳を通して、チー・ジョンさんから事情徴収したところ、先月二十七日に台湾を出国しタイに入国したことが判った。来タイの理由は、三千万バーツを共同出資した投資パートナーのヨーさんが、チー・ジョンさんを裏切ってタイに逃げ込んだので、彼を追って来たとのことであった。既に、ヨーさんが市内スクムビット通りソイ三九辺りに潜伏しているという情報も得ていた。

 チー・ジョンさん自身は、フアランポーン駅前のバンコク・センター・ホテルに滞在。その時、同ホテルに滞在中の台湾人スーと出会った。同じ国籍のスーに心を許したチー.ジョンさんが、自分がヨーに裏切られ、行方を捜しにタイに来た事などを打ち明けたところ、スーは、知り合いに中国語が話せるタイ人警察中尉が居るので是非紹介したいと言ってきて、三人は会う事になった。  チー・ジョンさんは、中国語が達者なクリッサナをすっかり信用し、十一月三日にクリッサナに勧められるままバーンラック近辺のホテルに移ることにした。三人は、酒を飲んだ後、スリウォン通りにあるカラオケで歌い、すっかり良い気分になったチー.ジョンさんを、クリッサナは自分のマイクロバスに乗せた。その直後、チー・ジョンさんは、クリッサナから頭にピストルを突き付けられ、既に車内で待っていた二人のヤクザ風の男によって両手に手錠をかけられ、口と目はガムテープで塞がれた。そのまま三時間程車に乗せられ、着いた場所は、別荘のような家が建つ森の中だったが、そこがどこかは分からなかったという。

 クリッサナは、チー・ジョンさんの手錠と猿ぐつわをはずすと、自分がこのような犯行に及んだ動機を語りだしたという。「私にも苦しい事情があり悩んでおり、こうせざるを得なかった。妻と子が誘拐され、犯人から三千万バーツの身代金を要求され、もし払わなければ二人とも殺すと脅されている。台湾に居るあなたの弟のチー・ファーさんに連絡を取って直ぐに三千万バーツを送金してもらうよう頼んでほしい。」

 その後、三人はトーンタラー・ホテル一一一四号室にチェック・インし、チー・ジョンさんは弟に電話をかけ三千万バーツを至急送金してもらうよう告げた。しかし、その直後に警察が部屋に入って来て無事助け出された次第である。

 犯人のマイクロバスの中から手錠とガムテープを発見、クリッサナは、誘拐・監禁の容疑で逮捕された。

  警察がもう一人の犯人スーを取り調べた結果、クリッサナは昔タイと台湾の交換プロジェクトの一貫として台湾に留学、帰国した後警察中尉に任命されたが、その後重大な法的過失を侵し解雇されていた事が判明した。



[BANGKOK SHUHO]

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