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人の言葉が分かる水牛、アイ・ルン君 涙ウルウル命乞い」攻撃で屠殺の運命を逃れ、ついに『動物を愛する家』の保護の下で一生安泰の人生に 屠殺の運命に何度も遭いながら、その度に屠殺人の前で、前足を跪き、涙を流しては命拾いをしてきた賢い水牛がいるという噂が、チェンマイ県ドーイサケーット郡に拡がった。 今月14日の朝、その情報をキャッチしたマスコミは、ドーイサケーット郡サムプーラーイ村に住む、噂の水牛の飼い主、ナーンミーさん(60)の家を訪ねた。 マスコミが到着した時には、家の裏に放し飼いにされているその水牛の回りを、噂を聞いて見物に来た大勢の人たちが取り囲まみ、見物人の数が多すぎるため、交替で見なければならない程であった。 その人垣の中から、「以前ヒットしたテレビ・ドラマの『モーンラック・ルークトゥン』に登場した水牛よりも賢いねぇ…」とか「タイ人が人を馬鹿にする時に使う『ンゴォー・ヤン・クワーイ(水牛の様にまぬけな奴だ)』という言葉は、もうこの水牛を見たら使えないねぇ…」と囁く声も聞こえた。 噂の主は、「アイ・ルン」と名付けられた四才の牡水牛。健康状態が大変良く、美しいボディーの持ち主である。 アイ・ルンを取り囲む人垣の中に、昔の飼い主である、スックさん(57)の姿も見られた。彼は、今回のアイ・ルンの噂を聞き付け、サンサーイ郡からわざわざ会いに来たのだという。 スックさんは、「私は、アイ・ルンが子供の頃から育てていたので、アイ・ルンが賢いこと、人間の言葉を理解すること等何でも知っています。」と自慢気に話し出した。スックさんは、「それでは証明して見せましょう。」と言って、「クラーン(歩腹前進)!」と命令すると、アイ・ルンは、前足を折り曲げ、まさに歩腹前進スタイルで動き出した。次に「ハイ・ノーン(寝ろ)!」と命令すると、今度は、横にゴロリと倒れて寝る姿勢をとった。それを目の当りにした村人たちからは、感心して拍手喝采が沸き上がった。 スックさんは、さらに続けた。 「私は水牛と牛の取り引きを商売にしているので、屠殺場にはこれまで何万頭も送り出して来ました。アイ・ルンは、数年前にドーイ・サケーットのバーン・パーファン村の人が1万7000バーツで売りに来たのを買いました。そして、サンサーイ郡にある土佐唾屠殺場に連れて行ったのです。トラックから家畜たちを降ろして、屠殺人がそれらの頭を金槌で叩く段階になった時、アイ・ルンは、突然前足を折り曲げ跪く様な姿になり、涙をポロポロ流し出したのです。それを見た屠殺人は、可哀相になって金槌を降り降ろす手を止めてしまいました。私は、まだ残っている後列の家畜を気にして、『もういいから、こっちにおいで!』とアイ・ルンに呼びかけたところ、アイ・ルンは慌てて逃げるように走って行きました。その後しばらくは家で面倒を見ていましたが、ある事情からお金が必要になったため、アイ・ルンを他の商人に売ってしまったのです。 しかし、それからも私はアイ・ルンの事が気になっていたので、何処に売られて行ったのか、どうしているのか、ずっと見守って来ました。アイ・ルンは屠殺場に送られる度に、例の「涙の跪き」攻撃で、生き延びて来たのです。前回、チェンマイ市内にある容赦なく何万頭も屠殺してきた事で有名な、インド人経営の屠殺場にアイ・ルンが送られた時には、さすがのインド人屠殺人も、アイ・ルンの跪き涙を流す姿に心を動かされ、『もうこの水牛は殺せない』と降参したと聞きました。」 その後も次々とオーナーが代わり、今回のナーンミーさんになり、これから屠殺場に送る予定にしていたという。 見物人の中には、北部森林ツアー団体会長であり、メーテーン・エレファント・キャンプのオーナーでもある、セーンドゥアンさん(36)という女性が、アメリカ観光局の職員、グレッグさんと一緒に「賢い水牛」の噂を聞いて見に来ていた。セーンドゥアンさんがその場で、アイ・ルンを1万7500バーツで買い取ることを申し出たところ、ナーンミーさんは直ぐに承諾。買い取られたアイ・ルンは、バーン・ラック・サック(動物を愛する家)という場所で飼われることになる。 セーンドゥアンさんに引き取られた事が分かったアイ・ルンは、彼女の足下で前足を折り曲げ、まるでワイをするような仕草をしたので、感激したセーンドゥアンさんが思わず涙ぐむ、というハプニングもあった。 最後に、グレッグさんはマスコミに対し、「タイ人は、水牛の価値に気付いていません。昔は畑仕事にこき使い、農業が機械化された現在は、もう水牛を殺す事しか考えていないでしょう。もっと水牛を保護する目的で飼うべきです。今回アイ・ルンを買い取るために、私もいくらか援助をしました。」と訴えたという。
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