中国人女性三人を誘拐, アパートに監禁、身代金を要求

後には中国マフィアの影が・・・


 今月九日午後五時三〇分、バンコク都内ヤンナワ区ノンシ通り、ソイ・ナクスクワンにある『TSTシティホーム・アパートメント』十八階の一室を、フアイクワン警察の警察官が、アパートの警備員を装い、訪ねようとしていた。

 事前調査の結果、中国からの観光客三人を誘拐してその部屋に監禁し、中国にいる親戚から身代金を要求している、という情報が入ったからである。

 警官が部屋に近づいた時、丁度ピハーン(二二)という女性がドアをノックしているところだった。ピハーンは、ラマ四世通りにあるレストランで専属の歌手として働いている。

 中に居る男がドアを開けた瞬間、警官は先ずピハーンを取り押さえてから部屋の中に侵入し男二人を逮捕した。

 男達は中国のフーチャンという町の出身で、一人はチャーイ・イーリン(二三)、もう一人はシー・イーユー(二三)。

 部屋の中は客間と寝室の二部屋に別れており、客室の中央には食事をした後が汚らしく散らばり、あちこちに使用済みのコンドームが落ちていた。前倒しにされた木製ソファーの後ろには三人の女性が毛布で覆われ見えないように隠されていた。三人は両腕を手錠で繋がれ、口は布で塞がれていたが、警察の侵入に気付いて必死で助けを求めるようにもがいていた。

 監禁されていたのは、中国籍のリー・イェージェンさん(二七)、フー・トゥーンインさん(一八)、チャン・シンホンさん(一八)の女性三人で、観光でタイを訪れていたところ被害に遭ったという。三人は警官に助けられた後もしばらく興奮が覚めず、安堵と喜びで泣き続けていた。

 その後三人は警察に保護され、通訳を介して事情聴取が行われた。

 「私達三人は中国の実業家の娘で、七月三十一日にタイに来ました。あちこち観光して廻った後八月四日にフアイクワーン区プラチャラート・バンペン通りにあるホテルに宿泊し、そこのレストランでピハーンと中国系マレーシア人の男性と知り合いになりました。それから二人に連れられて何カ所かで夜遊びをした後、十二日の夜ラチャダー・ピセーク通りにある店でカラオケを楽しんでいる時に睡眠薬を飲まされ意識を失ってしまったのです。目が覚めた時にはもうアパートの部屋にいました。二人の男から殴る蹴るの乱暴を受け、中国の実家に電話して身代金三万ドルと一二〇万バーツを用意するよう命じられました。私達三人の内一人は、性行為を強要され辱められたのです」

 警察が三人の身柄を保護するまでには次のような過程があった。

 去る八月一七日、リー・イェージェンさんの親戚で実業家でもあるスティーブ・チャンさんが、三人が利用した旅行社へ問い合わせ行方を捜査してもらった結果、ある中国人マフィアに誘拐されたことが分かったため、スティーブさんはフアイクワン警察に連絡を取り三人の捜査願いを出した。  

そこで、警察はイミグレーション・オフィスと協力し合い、前述のアパートに誘拐した三人を監禁している事実を突き止めた。慎重に救助策を検討し今回の逮捕に臨んだが、犯人の内一人は取り逃がしてしまったとのことである。


[BANGKOK SHUHO]