牛売買の大物商人、 ダムに浮く
全身に無数の刺し傷

父親を惨殺された恨みによる犯行か


 先月二十五日午後六時三〇分、カンチャナブリー県シーサワッド郡ダーンメーチャレップ警察に同郡バーングライグリアンにあるシーナッカリン・ダムで死体が発見された、との通報が入った。

 警察が現場に駆けつけると、ダム周辺には大勢の村人達が集まって来ていた。村人達の指さす方を見ると男性の死体が浮いており、警察は急いで舟を出して死体を陸に引き上げた。

 死体を調べると、全身に鋭利な刃物で斬りつけられた跡が無数に見られた。村人の情報により、その死体はカンチャナブリー県出身のサワイさん(三四)と判明。サワイさんはシーサワッド郡で牛を取り引きする大物商人である。

 死体が発見される三日前の晩、エークサヤーム(二二)と友人のティーの二人がサワイさんを、「五〇〇メートル程離れた場所に売りたい牛がいるので一緒に見に行って欲しい」と連れ出し、その後サワイさんは行方不明になっていたことがわかった。

 心配した親戚の者達があちこち捜し回り、三キロ程離れたダムに浮いているサワイさんの死体を発見したという。

 警察の調べで、エークサヤームとティーの二人がサワイさん殺害の犯人であると断定された。動機は、二年前にエークサヤームの父親が惨殺された恨みを晴らすためと推察。

 二年前、エークサヤームの父親で殺されたサワイさんと同業者であったポンさん(当時四〇)が何者かによって惨殺された事件があった。その時のシーサワッド警察の調べによると、第一発見者であった漁師は、ポンさんは、内臓がすべてえぐり出され、代わりに大量の石が詰められるという残酷な手口で殺され、シーナッカリン・ダムの水中に沈んでいたと証言している。

 ポンさんは何十万バーツもの大金を持ってサワイさんの牛を買いに出かけたまま姿を消し、その後、死体で発見されている。

 警察は、サワイさんをポンさん殺害の容疑者として逮捕したが、容疑を全面否定。サワイさんは保釈金を払って釈放され、以降裁判で審判中の身柄であったという。

 エークサヤームは、父親を殺したのはサワイさんであると強く訴えており、裁判でも自分の判断は間違っていない事を言い続け、サワイさんをずっと恨んでいたという。また、エークサヤームは、「父親を殺された恨みはいつか必ず晴らしてやる!」とも公言していた。

 警察は、エークサヤームが友人のティーを誘い、サワイさんを牛を見に行こうと騙して連れ出し、隙を狙ってナイフで全身をメッタ斬りにして惨殺、その後死体を舟に乗せてシーナッカリン・ダムに流したものと推定。舟上で父親がされたように死体の内臓をえぐり出し石を詰めようとした時、たまたま別な舟が近づいて来たため、慌てて死体を水中に投げ込み逃げたものと見ている。

 警察は、エークサヤームとティーの家を捜査したが、既に逃げた後だったため逮捕を急ぐとしている。


[BANGKOK SHUHO]