タイ北部大規模ヤー・バー取引の裏に
台湾マフィアの影
ヤーバー596,000錠を押収、
贈賄を繰り返し巧みに警察の手を逃れる
今月二十一日、警視庁はタイ北部のヤー・バー取引に関係している大規模組織の逮捕に成功したことを発表した。
逮捕された三人の容疑者は、チェンマイ県出身のサンヤー(四七)と妻のアンパイ(四〇)、そしてナコンラーチャシーマ県出身のニパート(四七)。
押収した証拠品は、緑色のビニールにパックされたヤーバー二、九八〇パック(合計五九六、〇〇〇錠)、末端価格は数千万バーツと推定。他に280S型のベンツ一台、BMW一台、三菱の新車ピックアップ一台、ヤーバー輸送用のトヨタ・ハイエース三台、さらに九ミリと六.三五口径のピストル二丁、貯金通帳二冊、そして現金二、〇五〇、〇〇〇バーツ。この現金は警察官に渡す賄賂として使われていた。
逮捕に至ったきっかけは、今月二十日北部国境からバンコクまでヤーバーを輸送する計画がある、との通報が警察に入ったことによる。通報によると、輸送に使用される道路は国道一〇五号線。
そこで警察は、二十日朝八時、チャンマイ県チェンダオ郡の国道警察に検問を厳しくするよう指示を出したところ、通報通りにニパートが運転し、サンヤーとアンパイの二人が乗ったトヨタ・ハイエースが通り掛かった。そこで警察が車を止めて検問を行うと、車内からヤーバーが発見された。
警察に連行されたアンパイは、見逃してもらうために賄賂を払う相談を持ちかけてきた。内容は、四〇〇万バーツ相当の二十八S型ベンツと五〇万バーツ相当の三菱ピックアップの新車、そして現金二〇〇万バーツを渡すというものである。さらに希望の口座に希望の金額を振り込むとも言ってきた。
警察は取り敢えずアンパイからの取り引き条件を飲み、三人を釈放。アンパイにチェンマイ市内ムアンサーコーン通りの指定場所に賄賂とその他の物を持ってくるよう指示した。
その後、五台の車と現金二〇〇万バーツを持って現れたアンパイら三人を、覚醒剤売買及び贈賄の容疑で再逮捕した。同時に、数千万バーツの大金が出入りしている貯金通帳二冊と、ピストル二丁も押収した。
警察は、アンパイ達に指示を出している組織の上部の人物逮捕も期待したが、アンパイ夫婦の話によると、チェンライ県メーサロン郡にいる大物に依頼され、ヤーバーをバンコクに一回運ぶ度に三〇万バーツの手数料を受け取っていた事を自供した。これまでに、三回は無事に仕事を成し遂げたという。
その後の警察の調査で、サンヤーがここ数年間でいきなり金回りが良くなっていたことも分かった。以前は旅行会社の運転手として働いていたが、その後バンコク―チェンライを往復するミニバスのレンタル会社を設立。そのミニバスを利用して数回に渡りヤーバーを運び、何千万バーツもの貯金が溜まったものと見ている。
警察での尋問に対し、アンパイは、「私がヤーバー取り引きの業界に足を踏み込んだきっかけは、親戚の一人の夫が台湾人で台湾マフィアの一員です。彼がヤーバー取り引きのために年一%の利子で一、八〇〇万バーツを投資してくれたのです。」と陰に台湾マフィアの存在があることをほのめかした。
台湾政府が台湾マフィアを撲滅させるために取り締まりを厳しくした結果、台湾から国外に資金を流す必要性が生じ、一部の資金がバンコクとタイ北部に流れているという。
アンパイは、一、一〇〇万バーツの現金を使って北部国境辺りでヤーバーを購入し、バンコクのエージェントに売りさばき、五、九〇〇万バーツもの利益を得ていたという。
プラチャー警察大将は、今回の逮捕に協力した国道警察に対し、功労金として十万バーツを授与することにした。
|