返せねば殺してしまえ借金取り
思い余った夫が突然の発砲

相手は瀕死の重傷、自らも命を絶つ


 今月二十二日午後一時、バンコク都内ナーンラーン警察に、ポンプラーブ・サトゥーパーイ区パーニアン通りにある三階建てショップハウス一階で発砲事件が起き、一人は即死もう一人は瀕死状態で病院に運ばれた、との通報が入った。

 現場は、一階が小物雑貨を売る店になっており、店の一部では注文料理も売る構造になっている。

 警察が駆けつけた時には、大量の血が奥の部屋から床を流れて店の入口付近にまで広がっていた。入口近くにはパーカオマー(男性用腰巻き)を身につけた男性が血だらけになって倒れ、既に死亡していた。

 死亡した男性は、店主のギムシー(七二)。ギムシーは、左脇腹一ヶ所と右こめかみを三八口径のピストルで撃たれていた。

 瀕死状態でミッション病院に運ばれた女性は、近所に住むオラタイさん(四〇)。オラタイさんは、弾が左顔面から右頚部を貫通、また左腕と右太股も撃たれICU室で治療を受けるという重傷を負った。

 ギムシーの娘であり、事件の目撃者であるティパワンさん(三六)の証言により、その日の昼間、債権者であるオラタイさんが、死亡したギムシーの妻パニーさん(六七)の元に借金の返済を迫りに来たことが分かった。ティパワンさんは、五年前に一ヶ月二〇%の利子で十七万バーツをオラタイさんから借りており、毎月五〇〇バーツずつ返済する約束だったという。しかし、昨年からは不景気のために返済が困難になっていた。負債額は、元金と利子で合計五十五万バーツにもなっていた。

オラタイさんが店の椅子に座り込み、パニーさんと借金の返済について話し込んでいる時、奥の部屋に居たギムシーは、時々二人の話を伺うように表に様子を見に来たりしていた。その時ティパワンさんは、店で注文料理を作っていたという。二人の話の中で、オラタイさんは、この建物を担保に銀行から金を借りて自分への借金を全て返済するよう求めた。そして銀行との煩雑な手続きは自分が代行するとも提言した。そして銀行からの許可が下りれば、全ての借金はチャラになるとも言ったという。

 そんな話を聞いていたパニーさんは、突然カーッとなり、席を立つと「返す金なんか無いよ!家を担保に銀行から借りることなんて考えてもないよ!」と怒鳴ると表に出ていってしまった。

 その後、ギムシーがオラタイさんを奥に呼び入れ、しばらくして数発の発砲音が聞こえたため、驚いたティパワンさんが様子を見に行くと、オラタイさんが血塗れになって倒れ呻いている姿を発見、父親のギムシーは既に死亡していたという。

 警察は、最初ギムシーがオラタイさんを撃とうとして抵抗され、誤って自分の左脇腹に銃弾が当たってしまい、その後オラタイさんに向けて三発発砲し、命中したのを見届けた後自らのこめかみを撃ち自殺したものと推察。また、動機はギムシーが借金の清算に行き詰まり、発作的に犯行に及んだものと見ている。


[BANGKOK SHUHO]