夫に捨てられた腹いせ
3才の養女を焼き殺した鬼継母

枕元に放火、ドアにはロック
周到な計画的犯行と断定


 今月八日午前二時三〇分、チョンブリー県バーンラムン警察に、ある雑貨屋から火災が発生したと通報が入った。

 警察が現場に駆けつけた時には、木造一階建ての建物はまだ燃え続けており、「中に三才の女の子が残されている!」と、親戚の者達が大騒ぎしていた。しかし、既に火は家中に燃え移り、手のつけようもなく、人々がただただ見守る中、全てを焼き尽くして火は鎮火した。

 焼け跡からは、アリッサラーちゃん(愛称:エン/三)の炭化した小さな遺体が発見された。

 家主の女性ニーラヌットさん(三六)と同居している弟のアピラックさん(二五)が、死亡したアリッサラーちゃんの父親である事が分かった。

 アピラックさんは前妻オーイとの間にアリッサラーちゃんをもうけ離婚、その後ピッサマイ(二五)と再婚した。しかし、間もなくピッサマイとも別居状態になった。別れたくないピッサマイは、日頃から頻繁に夫の家を訪れては、よりを戻そうと執拗につきまとっていたという。

 事件当日、南パタヤの店でバンド活動をしているアピラックさんは、仕事に出掛ける前、いつものように近所に住む姉のウィラさん(三〇)の元にアリッサラーちゃんを預けた。

 ウィラさんがアリッサラーちゃんと遊んでいると、ピッサマイが夫に会いにニーラヌットさんの家を訪ねて来たが、アピラックさんは既に仕事に出た後だった。

ピッサマイは、アリッサラーちゃんの洋服を紙袋に詰め込みながら、ニーラヌットさんの息子のチャイヤワット君(一三)に「ウィラさんの家に一緒に行こう」と誘った。

 そして、二人でウィラさんの家に行くと、ウィラさんに袋に入れたアリッサラーちゃんの洋服を見せながら、今日は自分がアリッサラーちゃんの面倒を見たいので夫の家に連れて帰りたいと言い出した。

 ウィラさんは特に不審に思わずアリッサラーちゃんを渡したという。

 ピッサマイはニーラヌットさんの家に行くとすぐ夫の部屋に行き、アリッサラーちゃんと一緒に床に就いた。ニーラヌットさんとチャイヤワット君もそれぞれ自室に入った。

 その後四時間寝入った頃、ピッサマイは家を出、その約五分後、家に火の手が上がった。ピッサマイは家を出るところを目撃されている。

 「起きろぉ!!」という大声にニーラヌットさんは飛び起き、息子と一緒に外に逃げ出した。その時、ニーラヌットさんはてっきりピッサマイがアリッサラーちゃんを連れ出し無事逃げのびたとばかり思っていたという。

 しかし、ニーラヌットさんの一番下の弟イッサラーさん(二〇)は、「何だか気になる・・」と、炎が大きく上がり出した家の中に入り、アリッサラーちゃんが寝ている部屋のドアを開けようとしたところ、ドアはロックされていて開ける事ができなかった。イッサラーさんは、足で蹴り開けようと試みたが無理で、そのうち火が家中に燃え広がってきたため諦めて外に出た。

 鎮火後、焼け跡のその部屋にはアリッサラーちゃんの遺体が残されているのみで、ピッサマイの姿はどこにもなかった。

 夜が明けて、仕事場のアピラックさんの元に、家が全焼、娘が一人取り残されて焼死したという連絡が入った。アピラックさんは、ピッサマイの自分への仕返しに違いないと直感したという。夫が自分の元へ戻らない事への恨みから娘を焼き殺したのだと・・・。

 アピラックさんは警察の事情聴取に対し、自分の部屋には鍵はついておらず、いつもは紐で縛って鍵の代わりにしていた事を証言。

 しかし、検証の結果、ドアがロックされていた形跡があるため、ピッサマイが故意に鍵を掛けて娘を助け出せない状態にした後、自分は別な出口から出たものと推察された。

 その後の調査により、今回の火事は放火によるものであることが判明。また、ウィラさんの家にアリッサラーちゃんの洋服が入った紙袋とベンジンで汚れた服が残されていたことから、ピッサマイの計画的な犯行による殺人事件と断定された。

 警察はピッサマイがナコンパノム県の実家に戻った可能性が強いと見て、実家での逮捕を準備しているところへ、ピッサマイがウィラさんの家に戻ったという情報が入った。

 警察はウィラさんの家に駆けつけ、ピッサマイをその場で逮捕、バーンラムン警察に連行した。

 警察での取り調べに対し、ピッサマイは自分の犯した事がやりすぎであったと反省したので、ウィラさんの家に戻ったことを告白。また動機については、夫に捨てられたことを恨んで、仕返ししてやろうと思ったと供述した。

 アリッサラーちゃんの寝ていたベッドの枕元にライターで火をつけ、家を飛び出したピッサマイは、夫の働いている南パタヤ方面に向かって放心状態のまま歩いていたが、どこに行けば良いのか分からなくなり、反省してウィラさんの家に戻ったという。

 ピッサマイは二十五才、ナコンパノム県出身である。


[BANGKOK SHUHO]