四十二年前の愛を成就した喜びも束の間
僅か二ヶ月後に最愛の夫が急死

泣き崩れる72才の新妻に 葬儀参列者も涙


  数ヶ月前、タイラット紙の報道により「高齢者同志の結婚式」として話題になったカップルがいた。

 花嫁はチェンマイ大学医学部特別講師でもある女医のナーリーシーさん(七二)、花婿は元首相付顧問でもあり、閣僚の副長官も勤めた経歴を持つパイブーンさん(七〇)。この時、パイブーンさんは記者のインタビューに対し、二人の愛を「抱き合ったまま死んで行きたい」と表現した。

 二人の愛は遙か四十二年前に遡る。四十二年前、留学先のアメリカ、ワシントンDCで二人は出会い愛し合うようになった。しかし、その後タイに戻った二人は結婚出来なかった。なぜならば、ナーリーシーさんがタイで医療に携わる仕事をしなければならなかったからだ。失意のパイブーンさんも別の女性と結婚する道を選んだ。こうして、二人は、お互いの愛を〃良き思い出〃として過去に葬ることにした。

 月日は流れ、パイブーンさんは、結婚した女性が亡くなり独身となった。二人は再び連絡を取るようになり、〃過去の思い出〃だった筈の愛が再燃した。

 そして、今年の三月十八日、二人は残りの人生を共に生きていくことに同意、結婚式を挙げた。双方の親族も二人の結婚式を喜び祝った。幸せな生活が僅か二ヶ月後には悲しい運命になろうとは誰も予想だにしなかった。

 今月十八日の朝、夫となったパイブーンさんが心不全のため急死したのだ。ノンタブリー県バーングルアイにある自宅から出掛ける直前の事であった。家族の者が急いで病院に運んだが、間もなく帰らぬ人となった。

 仕事でチェンマイに居た妻のナーリーシーさんは、夫の悲報を聞いて直ぐにバンコクに戻った。

 マクットガサッタヤラーム寺院で行われたパイブーンさんの葬儀には、友人や親族が突然の死を未だ信じられない様子で悲しみに打ちひしがれていた。特に、最愛の夫の急死に泣き崩れるナーリーシー助教授の姿は参列者の涙を誘った。

 ナーリーシーさんは、報道陣に対し「夫の死についてはそっとして置いて下さい。静かに葬儀を行い、夫を見送りたいと思っていますので・・・」と力無く語った。

 パイブーンさんの姉と言う人は、「名前は伏せて置いて下さい」と前置きして次のように語った。

 「十八日の朝、姪からの連絡で弟の死を知りました。七時頃、弟は出掛ける支度をしている時胸が痛くなり、そのまま家の中で倒れたそうです。甥が急いで家の近くにあるチョークアナンパッタナー病院に弟を運んでくれたそうです。弟には以前から心臓病の持病があり、自分でも常に気を付けていました。定期的に検査を受けたり、薬も飲んでいましたので、普段は健康で特に心配はしていませんでした。しかし、突然死んでしまい、二ヶ月前に結婚したばかりの奥さんにも一言も残さずに逝ってしまい、心の中で諦めがつきません・・・」


[BANGKOK SHUHO]