同性愛の男性、相手の医師と無理心中を図る

破局を迎えた愛に終止符を ……


 今月四日午後三時十五分、ペッブリー県警にカオ・ワンプラナコンキリー山の近くでピストルの発砲事件が起き、一人が死亡し、一人は負傷したとの通報が入った。

事件は、カオ・ワンプラナコンキリー山麓にあるペッブリー・ケーブルカー社のトイレの前で起きた。警察が駆け付けた時には、観光客や物売り、そして近所の住民が死体を取り囲むようにして覗き込んでいた。

 死亡した男性は、プラチュアッブキリカーン県出身のピパットプーンさん(二五)。トイレのドアに顔を向けて倒れていた。右手にはコールメーカー社製の三十八口径ピストルを握り締めていた。ピストルの銃弾は五発が撃たれており、一発の銃弾だけが残されていた。死体の横に落ちていた黒いリュックサックの中には、現金九〇バーツとIDカードだけが入っていた。そして、ジーンズの右ポケットの中に一通の手紙が発見された。

 警察が手紙を開封すると、中には「私達二人の遺体は、ペッブリーに一緒に葬って下さい。私達の愛は四年前に始まりました。私達は約束を守りましたが、結局ダメでした。だから二人は一緒に死にます。愛の終りに・・・・」と書かれていた。

 もう一人負傷した男性は、ペチャラット病院とプラチョーングラーオ・ペッブリー病院の医師、アディレークさん(三九)である事が判明した。

 アディレークさんは、右頭部と腹部の二ヶ所に銃弾を受けた。しかし、アディレークさんは、負傷しながらも自ら車を運転してプラチョーングラーオ・ペッブリー病院へ駆け込んだ。病院前にフラフラと入って来た車を見付けた病院の職員により無事救助され、急いで集中治療室に運ばれたという。

 警察がその後目撃者などから事情聴取した結果、ピパットプーンは、その日家を出たあと、心の問題を解決するためにアディレークさんと待ち合わせ、一緒にシビックに乗って出掛けたという。しかし、話し合いは上手く行かず、納得出来なかったため、トイレの前に車を止めた。車から降りたアディレークさんとピパットプーンは激しい言い争いを始めた。その時、突然ピパットプーンはピストルを取り出し、アディレークさんの頭部に向けて発砲した。驚いたアディレークさんは夢中でピストルを避けようとしたため、二発目は腹部に当たった。そしてもう一発は逸れて別な方向に飛んで行った。

 アディレークさんは撃たれたショックと激しい痛みから地面に倒れ込んだ。それを見たピパットプーンは、アディレークさんが死んでしまったと思い込み、自らの右耳下に発砲し自殺した。

 その後、血まみれの白衣に包まれたアディレークさんは、朦朧としながらも意識はまだあったため、急いで車に乗り込み無我夢中で運転して病院にたどり着いたという。幸い一命は取り留めたが、かなりの重傷を負った。

 プラチョーングラーオ・ペッブリー病院の理事であるジェード医師は、今回の事件に関して、「アディレーク医師は、バンコク出身で、ラーマティバディー病院の医学部を卒業した後、四年前から当病院に勤務しています。まだ独身です。性格は大変良く、成形手術においては丁寧で上手いと評判です。彼の傷はバンコクの病院に運ぶ必要は無く、この病院の設備で充分治療できると思います。彼の個人的な問題に関してはよく知りません」と慎重にコメントを残した。

 警察は、現在アディレークさんの回復を待ち、更に詳しく調べることにしているが、恐らく、一時は深く愛し合っていたアディレークさんの心変わりに気付いたピパットプーンが、最後の話し合いにかすかな希望を託したが、それも結局上手く行かなかったために失望し、アディレークさんをピストルで撃ち殺し、自分も後追い自殺を図ったものと見ている。


[BANGKOK SHUHO]