美人歌手と女マッサージ師の壮絶な闘い
激しい罵り合いの結果、煮えたぎったトムヤム・スープで顔面大火傷
今月十六日午前十時半、ナコンパトム県ナコンチャイシー警察にナコンチャイシー病院から連絡が入り、熱湯をかけられ大火傷を負った患者が運ばれて来たので調べに来て欲しい、と伝えた。
警察は緊急治療室に駆け付け、負傷者であるラッタヤーさん(三七)に事情聴取を行った。ラッタヤーさんは、タイ古式マッサージ師でナコンチャイシー郡ワットケー村にある番地の無い家の三番目の部屋を借りて住んでいる。
熱湯をかけられた顔面右側から腕、胸部にかけて重度の火傷を負っていた。ラッタヤーさんは、医師や看護婦からの治療を受ける度に起こる激痛のためか、ベッドの上で悶え苦しんでいた。
ラッタヤーさんの語るには、「私に熱湯をかけた、一生忘れられない程憎い女の名前はワンニパー(二三)です。〃ドーンフェーグ・レストラン〃の専属歌手です。彼女は私の隣りの部屋に住んでいます」とのことであった。
さらにラッタヤーさんは涙をポロポロ流しながら、事件の起こったいきさつを次のように話した。
「私とワンニパーはずっと仲が悪い関係でした。なぜなら、私が共同炊事場の鍵をかけて彼女に使わせないようにしていじめていると疑われています。でも、私はそんな意地悪な事はしていません。しかし、彼女はそれを信じようとはせず、私と会う度にイヤな顔をするのです。事件の朝、私はベッドから起きて体にサロンを巻いた姿で家の裏にある浴室場に向かって歩いて行くところでした。その時ワンニパーは隣りの炊事場でトムヤム・プラーチョン(雷魚のトムヤム・スープ)を夢中で作っていました。私が彼女の横を通り掛かると、いきなりわざと大声を出して〃フン!マッサージ師なんて体も売っているにちがいないよ!〃と怒鳴って来たのです。それを聞いた私は悔しさからカっとなり、彼女に向かって〃なにさ!歌手と言ったってちょっと高級な娼婦と同じじゃない!〃と言い返してやりました。そして私が腰掛けるや否や、彼女は鍋の中の煮えたぎったトムヤム・プラーチョンを柄杓ですくうと、私の顔に向けて思い切り掛けたのです。私は大声で叫び、隣りの部屋の友人を呼んで急いで病院に連れて来てもらったのです」
警察はその後、事件現場を調査。平屋の長屋式住居のその家の裏には炊事場と浴室場が外側にある。ラッタヤーさんの部屋の裏側に位置する炊事場では、鍋が倒れて地面に転がり、トムヤム・プラーチョンの中身があちこちに散在していた。警察はその鍋を証拠品として押収。
その後ワンニパーの部屋を調べに行くと、中でワンニパーが一人で泣いていた。
警察はワンニパーを連行し、取り調べを行った。
歌手であるワンニパーは、自分の犯した罪を素直に認め、次のように自供を始めた。
「〃高級娼婦〃となじられたので、頭にカっと血が上り、ラッタヤー姉さんに煮えたぎったスープを掛けてしまいました」
警察はワンニパーを暴行致傷の容疑で逮捕した。
マスコミが警察の調査結果を報告。それによると、ラッタヤーさんとワンニパーは常日頃から仲が悪く言い争いが絶えなかったという。ラッタヤーさんはハッキリと物事を言う性格で、しばしば喧嘩になっていたようだ。また、ワンニパーは美人なのでレストランのスター的存在であり、ナコンチャイシー郡の大物にもファンが多く、そのため態度が大きくお高くとまっているところがあったようだ。しかし、逮捕後拘置されているワンニパーの身元保証人になる人は、その日の夕方まで誰一人として現れなかったという。
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