運命の悪戯か、前世の因縁か ……実の兄妹が結婚、絡み合う愛憎の悲劇
2才の長男が嫉妬に狂った父親の犠牲に
ナコンシータマラート県出身の二十三才の男チャランは、カラオケ・バーで働く若い妻チャリーに対する激しい嫉妬心から、二才になる息子キティサックちゃん(愛称/マーカー)と生後六ヶ月の次男パパッサゴーンちゃん(愛称/タイガーウッド)の二人に殴る蹴るなどの折檻を与えた上、二人を大きな旅行カバンに押し込めて密閉し逃亡。子供の泣き叫ぶ声を聞きつけた近所の住民により救出されマハラート病院に運ばれた。次男のタイガーウッドちゃんは九死に一生を得て助かったが、長男のマーカーちゃんは死亡した。
この事件が起きたのは今月五日の夕方だった。
タイラット紙の報道によると、六日朝二人の子供の母親、チャリーさん(愛称/エム)は、死亡したマーカーちゃんの葬儀がサーラーミチャイ寺院で行われるため、マハラート病院にマーカーちゃんの遺体を迎えに行ったとのことであった。弟のタイガーウッドちゃんは、体調が安定するまで一時期親戚の家に預けられることになったという。
同紙の記者が元気になったタイガーウッドちゃんを見舞いに行ったところ、知人達は口を揃えて「バカな父親に殺されなくて、本当に良かった」と話していた。
事件後逃走中の父親チャランの行方を、チャマオ警察は全力を挙げて追跡。最新の情報によると、チャランはラーンサカー郡で活動しているある若者のバンド仲間に匿われているらしいという事を聞きつけた。
同日、警察は妻のチャリーを証人として伴い、そのバンド仲間〃ポーケーン〃が夕方コンサートを行うセーマー寺院で準備のための道具を運んでいるチャランを逮捕した。
その後、チャマオ警察に連行されたチャランは警察の取り調べに対し、反省している様子もなくふてぶてしい態度で次のように供述を始めた。
「俺と妻のチャリーは実の兄と妹だった。七年前に関係を持った。その時俺は十七才、チャリーは十五才だった。関係が出来た時にはまだ兄と妹だと言う事は知らなかった。その後、チャリーがマーカーを妊娠した時、偶然チャリーのIDカードを見たら苗字が俺と同じ〃グライティップ〃だったため、チャリーに色々聞いたところ実の妹である事が分かった。しかし、既に二人はそういう関係になってしまっていたのでどうしようもなく、次男のタイガーウッドまで生まれた。始めに妹だと知らなかったのは、俺がまだ物心つかない子供の頃、父親のプラサートが死亡し、そのため母親のチャルアイはナコンシータマラートのシェンヤイ郡に住む祖父の家に俺を預けた。そして、まだ赤ん坊だった妹は母親の元で育てられたからだ。その後、妹には会ったことがなかった。車の運転の仕事をするためにグラビー県に行った時チャリーに出会い、愛し合うようになった。一緒に暮らし始めて一年後にチャリーが実の妹だという事が分かったが、今もずっと愛している。母親は、俺達の関係を知っていた。あの日、カッとなって子供達を折檻し、一人を殺してしまった理由は、前日の四日夜、ラーチャプルック住宅地のガードマンであるチャリーの新しい恋人エーを家に連れて来て、俺に向かって〃新しい恋人が出来たの。だからこれからはこの人と一緒に暮らすわ〃とぬかしたので、俺は〃もし行くのなら、二人の子供も連れて行け!〃と怒鳴ってやった。しかし、彼女はそれも聞かずに〃アイツ〃と二人で何処かへ行ってしまった。俺はもう嫉妬で頭が爆発しそうになり、斧を用意して、チャリーが家に戻って来たら殺すつもりだった。俺はずっと待っていたがチャリーは戻って来なかった。翌日の午後、気分がイライラして耐えられない状態でいた時、二人の子供達がギャーギャー泣き出し、俺は〃うるさい!泣くな!〃と怒鳴ったが泣き止まなかった。それで俺はマーカーを思い切り殴り飛ばした。マーカーは床に倒れて動かなくなった。ハンモックに寝ていたタイガーウッドは、泣き喚き激しく動いた拍子にハンモックから落ちて気絶してしまった。俺は子供達が死んでしまったものと思い込みショックだった。それで急いで旅行カバンに二人の体を押し込みジッパーを締めてトイレに隠し、俺はそのまま逃げ出しバンド仲間の元に身を隠した」
マスコミがチャランに「今回の事件に関して心が痛むか?」との質問をしたところ、チャランは、「俺も自分の手で子供を殺してしまったことには心を痛めている。しかし、それは、本当にカッと頭に血が昇って発作的にやってしまった事であり、殺そうと思ってやったことじゃない」と答えた。
さらに、「なぜ子供達をカバンに閉じ込めたのか?」との質問には、「それは、てっきり二人とも死んでしまったと思ったので、誰かに見つからない内に早く隠さないといけないと思い、急いでカバンに入れた。でもタイガーウッドの方は生きていてくれて良かったと思っている。とにかく俺がやったことは全て認める。どんな罰でも受ける」と答えた。
最愛の息子の一人を失った母親のチャリーさんは、涙を一杯浮かべて次のように語った。
「本当にあの人はヒドイ人です。自分の子供を殺すほど悪いヤツだったとは知りませんでした。チャランが言っている、私が他の男と浮気しているというのは全くの嘘です。あの人が勝手に疑っていただけです。でも、私はこういう仕事をしているので、売春をしているのは事実です。子供のミルクを買うために稼がなければなりませんから。あの日男友達を家に連れて行き〃恋人が出来た〃と言ったのは、あの人にあてつけるためにわざと言っただけです。なぜなら、チャランは私という妻が居るのに、オカマと関係を持っている事が分かったから。でも、そんなことが原因で夫が子供を殺すなんて・・・・」
マスコミは、チャマオ警察に逮捕されたチャランをリポート。数千人もの住民が鬼父チャランの顔を見るために警察に押しかけ、チャランの姿を見ると口々に罵倒の声を浴びせかけた。
チャランとチャリーの母親であり、死んだマーカーちゃんの祖母であるチャルアイさんは、チャランを面会しに訪れ、マスコミのインタビューを受けて、「チャランには必ず死んだマーカーに〃コー・カマー(罪を認め赦しを乞うこと)〃をさせます」と複雑な心境で語った。
警察は七日、チャランを連れて現場検証を行ったが、怒りに満ちた住民達の攻撃から守るために、大勢の警察官を動員したとのことである。
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