クロントイ
「受け渡し」は子供の役目
覚醒剤密売業者を逮捕
国の将来を担う子供たちが覚醒剤の取り引きに利用されるという事件が相次いでいる。
今月十七日午後一時、バンコク都内タールア警察は、クロントーイ区アードナロン通りにあるクロントーイスラム第一ブロック内で、覚醒剤取り引きの仲買人が集まっているという情報を得たため、踏み込み捜査を行った。
家の中では、その家の女主人であるワンペン(三一)が一万三千バーツの札束を数えている最中だった。
部屋の中からオレンジ色の覚醒剤一五〇〇錠が詰められた青いビニール袋を七個も発見された。
部屋の隅では、男の子が二人、気怠そうに横たわっていた。
男の子とは、エーク(仮名)、もう一人はヌン(仮名)で、共に十二才。二人は既に重度の覚醒剤中毒症状が見られ、あばら骨が浮き立つやせ細った身体に落ち窪んだ目で、起きあがる力も無く床に転がっている状態だった。
二人の側には、煙を集める漏斗など、薬を吸引する為の道具が置かれており、握った掌の中とズボンのポケットから合計二十五錠の覚醒剤が発見され、証拠物件として押収された。
警察には、ワンペンは一家で長年覚醒剤の取り引きに係わってきていると推察。取り調べの結果、かつて家族全員が逮捕された過去も明らかになった。
特にワンペンは、自分の管理している子供達を利用して客に〃ブツ〃を渡すという方法をとっていた。
エークとヌンもその中の二人であった。二人は、報酬の代わりに覚醒剤を受け取っていたという。
警察がエークとヌンを取り調べたところ、過去十五回覚醒剤所持により逮捕されていることも判明した。
少年院を出た後、二人は更正施設に預けられたが、社会に復帰すると再び覚醒剤地獄に落ちて行ったという。
今回初めて自分の覚醒剤を得るために取り引きを手伝ったとのことである。
警察はエークとヌンの二人を連行、覚醒剤所持と売買取り引きの容疑で逮捕した。
エークとヌンは家族から捨てられ、学校にも行ったことがなかった。エークの場合、両親が離婚、母親も覚醒剤取り引きに係わり、逮捕歴がある。ヌンは家出した後、覚醒剤常飲者の仲間に入り、自らも中毒になってしまった。お金が無くなったため、ワンペンの覚醒剤を運んだり売ったりする仕事を手伝うために雇われたという。常連客に、毎日五〇錠の薬を一錠五〇バーツで売っていた。
マスコミが二人に話を聞こうとしたところ、近くに居る警察官の目を盗んで、素早い仕草でシャツの裾の縫い代に隠していた覚醒剤を取り出し夢中で吸い込む場面もあり、マスコミを驚かせた。
又、写真を撮られることにも、全く無関心だったという。
タールア警察の管轄区域では、覚醒剤売買による検挙数が以前よりも増えたという。これまでは、仲買人により一錠一〇〇バーツで売られていた薬が、現在では二〇〜三〇バーツに値下がりし、仲買人の数が一挙に増えたことが大きな原因にとされている。
通常、売人は自分では直接客に売ることはなく、警察に捕まっても罪の軽い子供達を利用して取り引きを行っているという。
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