タイ経済低迷:不況の風はお寺にも

参拝者激減で深刻な問題を抱える寺院も


 一般の寺院と多くの住民がまるでICU(集中治療室)に入っている重病人のようなこの時代、IMFの管理下にあるタイ経済の煽りを受けて、有名な大寺院を除き、住職が特に有名でもなく、特別な縁起物を持っているわけでも、宝くじの数字を予言することも無い一般の寺は、存続が危ぶまれる程の深刻な影響を受けているという。

 参拝者を集め、寄付金を募るために、地球を片足の下に置く仏像を造ったり、本堂の壁画に猥褻な絵を描くなどの話題作りを成し遂げたチャチャンサオ県のサナーム・チャン寺院を代表的な一例として挙げる事ができる。

 この不況下の寺事情に関する報告が発表された。

 チャチャンサオ県にあるソートーン・ワララーム・ウォラウィハーン寺院の最高住職プラ・プッティランシー師が最近の当寺への参拝者数と寄付金額を観察してみたという。

 その結果、「相変わらず変わっていません。一日の平均参拝者数は約二、〇〇〇人、寄付金総額は三〇〜四〇万バーツ。土日は平日より増えて、土曜日の寄付金額は一〇〇万バーツ、日曜日はそれ以上です。毎日の寄付金の詳細は、仏像の貸出料、建築中の本堂の屋根瓦代、祈願がかなったお礼参りの寄付、僧侶への土地代、参拝用の線香・ロウソク・花代、電気・水道料金の寄付などで、この寺が存続できるのもひとえにソートーン大師の偉大な影響力のお陰です。当寺は参拝者を集めるために特別な事は何もしていません。参拝者のソートーン大師への深い信仰心のためです。総額一億万バーツになる寄付金は全てチャチャンサオ県内四カ所の銀行に分けて預けており、他の事業に転用しているわけではありません。使い途は、ソートーン大師の新しい寺院建築費用と現国王の寺院を建築する費用となります。それらに二億万バーツがかかる予定です。現在建築状況は既に八五%程進んでいますが、もし今回のような不況にならなければ、二億という金額はとうに集まり、建築はもっと早く進んでいたでしょう」

 そこで、当寺では、八月から今年の終わりにかけて、〃タンブン・ピット・トーン・ルークニミット(本堂の境界線に埋める丸い石に金箔を貼るための寄付)〃を実施して出来るだけ多くの参拝者を集めたいとのことである。

 アユッタヤー県のモンコーンバピット寺院の〃ルアンポー・モンコーンバピット基金〃事務所の責任者であるグラセーさんは、「今年四月のソンクラーンの後、参拝者の数と寄付金の額が減ってきました。なぜならば、景気が悪くなり観光客が減ったためです。景気が良い時は、寄付金箱を十日に一度開けると、十万バーツ以上の額が入っていました。今は、平日の参拝者は二〇〇人、土曜日が五〇〇人、日曜日には一〇〇〇人です。十日毎に寄付金箱を開けると七〜八万バーツが入っています。以前は、仏像の貸出作業が三人で対応しても忙しくて大変だったのですが、今は一人で十分です」と経済状態の悪化が寺院にも影響している事実を語った。

 以上二カ所の寺院は、タイ国内でも大型で国際的にも知名度の高い大寺院である。

 以下は、中型寺院に関する報告である。

 パトゥムタニー県ラーノムゲーオ郡にあるチェディーホイ寺院の寄付金管理を担当する僧侶パサーン師は、「以前は平日の参拝者が一〇〇人以上、土曜日は二〇〇人以上、日曜日は三〇〇人以上でした。しかし、現在は平日五〇人、土曜日七〇人、日曜日は一〇〇人程度に激減してしまいました。寄付金の詳細は、聖水代、祈祷代、占い代、病人のために作っているタイ・ハーブを原料とした薬代などです。景気の良い頃は、日曜日には一〇万バーツ以上の寄付金が集まりましたが、現在は三〇%も減ってしまいました。寺の支出は、水道・電気料金だけでも月に二万バーツ以上かかります。毎日貧しい人々に無料で提供している三食の食事代が平日五〇〇〇バーツ、土・日には七〇〇〇〜八〇〇〇バーツかかります。他の寺からも鉄、セメント、砂、石等の建築資材の寄付の依頼があり、無料で配布する食事のための食材の寄付依頼もあります。最近は、建築資材の寄付に関しては、一時的に中止することにしました。なぜならば、当寺院に参拝に来る方達にこれ以上負担をかけたくないからです。食材に関しては続けて提供しています」と深刻な状況を報告してくれた。


[BANGKOK SHUHO]