三角関係の清算に失敗した警察官、車の中で愛人に射殺される
女性も隣りで後追い自殺
皮肉にも携帯の拳銃が凶器に
今月四日午前七時半、チョンブリー県サメット地方警察に、市内サメット村サイアンシラー通りにある建築資材会社〃DJカーワサドゥック・ゴーサーン〃前の路上に停められている車の中で二人の死体が発見された、との通報が入った。
警察が現場に駆け付けると、ナンバー・プレートの無いイスズ・ピックアップが停まっており、エンジンはかかったままの状態で、両側ドアは内側からロックされ、中からはミュージック・テープが聞こえていた。
ドアをこじ開けた途端、中から血の臭いがムワッと溢れ出て来た。
助手席には、カーキ色の警察官のズボンに黒いブーツ、白いTシャツの上に紺色のサファリ・ジャケットを来た男性が頭部を撃たれて死亡していた。右耳から撃たれた銃弾は左頭部を貫通しており、激しく破損された頭蓋骨から大量の血液と脳みそが流れ出ていた。
運転席には黒色のシャツに黒のズボン、靴も黒という全身黒で覆われた女性が男性の膝の上にうつ伏すように死んでいた。男性と同様、右頭部から撃たれた銃弾は左頭部に貫通していた。女性の膝の上には犯行に使われたと思われる未使用の銃弾四発分が残された三五七型ピストルが置かれ、近くには発砲後の薬莢が二個落ちていた。
持っていた身分証明書から、男性はチャチャンサオ県パノムサラカーム郡警察の警察大尉マノーさんであることが判明。女性は身分証明書を所持していなかったので身元は確認出来なかった。
車内のポケットにはコンドーム数枚が保管され、後部座席には二人の物と思われる二台の携帯電話が置かれていた。また、女性が持っていたショルダー・バッグには現金一、〇〇〇バーツと化粧品が入っていた。ピストルの所有者はマノーさんであるとされた。
二人の死体は、解剖して検死を行うため警察病院に運ばれた。
DJカーワサドゥック・ゴーサーン社の従業員に聞き取り調査を行ったところ、前夜七時頃ピックアップが店の前に停まったのを目撃したが、車内の二人は普通に話しており特に変わった様子も見えなかったので気にも留めなかったという。朝になって、バイク・パトロールの警察官が通り掛かり、車内で死んでいる二人を発見した。
警察は、二人は恋人同志で、恐らくカオ・サームック山辺りで海鮮料理を食べた後、車で帰る途中二人の関係上のトラブルを解決するための話し合いが行われたが、納得しない女性の方が一緒に死のうと男を先に撃ち殺し、その直後に自らも自殺したものと推察した。
同日午後、バンコク都内サーイマイ警察の警察大尉で、殺されたマノーさんの弟であるチャラーンチャイさんと、パナニコム出身のマノーさんの妻ウィチュダーさん(三〇)の二人がサメット警察を訪ね、ウィチュダーさんは夫を突然失った悲しみで泣き崩れながら次のように語った。
「夫を殺して自殺した女は、パイリーン(愛称・ター/三〇)で、サムットプラカーン県サムローン市場で鶏肉を売るメー・カー(女商人)です。夫とは秘密の関係を長年続けていました。私が二人の関係を知ってから、私と夫との間には口論が絶えませんでした。私は夫にパイリーンとの関係を止めて欲しいと何度も訴え、夫も一様納得して関係を止めると言ってくれていました。しかし、パイリーンはその事を認ようとはしませんでした。事件の前、たぶん夫とパイリーンは関係を清算する話し合いをして、解決の糸口が見出せないことに絶望した左利きのパイリーンが夫の右腰に着けていたピストルを盗み取って撃ち殺したのでしょう。」
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