独占欲を〃愛情〃と勘違いした男、ストーカーに変身

元恋人に付きまとった挙げ句、ピストルで撃ち殺し自らも後追い自殺


  今月十七日午前九時、バンコク市内フアイクワン警察に、ディンデーン区ラッチャダーピセーク通りにあるロビンソン・デパート四階駐車場でピストル殺人事件が起きた、との通報が入った。

警察が現場に駆け付けると、バンコク出身のサラウッドが車にもたれるように倒れて死んでいた。右手には三八口径のピストルを握り、右頭部を撃ち抜いた銃弾は左頭部を貫通、破壊された頭蓋骨からは大量の血液と脳みそが流れ出ていた。

死体と少し離れた場所に、点々と乾いた血痕が付着しており、それは先程ラマ九世病院に運ばれる途中で死亡した、もう一人の被害者のものと思われた。

もう一人の被害者の女性は、サンシダーさん(三〇)。大手スーパー・マーケットの〃ビッグ・シー(Big C)〃で経理のアシスタントをしていた。サラウッドと同じ三八口径のピストルで左頭部と胸部に一発づつの銃弾を受けていた。右手には撃たれる際に抵抗して付いたものと思われる火薬で焦げた跡が見られた。

事件を目撃していた、ビッグ・シーのコンピューター課で働いているサンシダーさんの同僚ウッドさんは、警察での事情聴取に対し次のように証言した。

「私は五階にある事務所からエレベーターに乗り四階のパーキング場に降りて来ました。四階に着きエレベーターのドアが開くと、サンシダーさんとピストルを持ったサラウッドの二人が激しく言い争っているのが見えました。私は急いで事務所に戻り仲間を呼んで再び四階に来た時には、二人とも既に倒れていたのです。」

サンシダーさんの母親ミットラパーさん(五五)は、「サンシダーは、二年前からビッグ・シーで働いていました。サラウッドとは、以前クルンテープ・パリット・レック社で働いている頃から付き合っていました。その頃からサラウッドは短気で異常に嫉妬深く、娘の行動を一つ一つうるさく詮索し、何度かもめたことがありました。娘は美人ですし、仕事上色々な人に会わなければならないことが原因だったようです。私は娘にサラウッドとは別れた方が良いと勧めました。その後二人の距離が離れ始めても、サラウッドはなかなか別れようとはせず、ますます娘に付きまとうようになりました。電話をかけてきては、〃もし新しい恋人が出来たら、ピストルで撃ち殺すぞ!〃とか、〃硫酸を顔にかけてメチャクチャにしてやる!〃などと脅された事もありました。ある時は、マームイ(触れると猛烈な痒みを起こすマメ科の植物)を娘の事務所にばら撒かれたこともありました。今回は、二ヶ月前から失業していたサラウッドが娘とよりを戻そうとしたがうまく行かず、激怒してピストル持参で事務所まで押しかけ、口論の末にカッとなり娘を撃ち殺し、自分も後を追って自殺したのだと思います。」と、サンシダーさんがストーカーまがいのサラウッドに悩まされていた事実を証言した。


[BANGKOK SHUHO]