2才8ヶ月の保育園児、異物が呼吸器官に詰まり脳死状態10日間の末死亡
増え続ける園児数、足りない保母さんの数、行き届かないケアも一因か
ペッチャブーン県内にあるサムラーンラート・ウィッタヤー学校保育園一年生のチャイヤポーンちゃん(愛称・ノーン・ジェームス)は、先月二十五日午後、教室の中で突然意識を失い全身が濃緑色に変化したため、急いでペチャラット病院に運ばれた。学校から連絡を受けた両親は、ショックのためしばらく動けなかったが、我が子の入院する病院へと駆け付けたという。
ジェームスちゃんは、病院でレントゲン等の検査を受けた結果、最初は原因不明だったが、その後片方の肺が収縮している事が分かった。そこで急遽、ピッサヌローク県プッタシナラート病院に転院させ、そこで再度検査、レントゲン撮影などした結果、ジェームスちゃんの気管に異物が詰まっているのが発見された。ピンセットでその異物を取り出した医師達は一同驚きで目を見張った。それは、どこの市場でも売られているプラスチック製の小さな組立式キャラクター人形の一部品だった。
担当医はジェームスちゃんの呼吸を回復させるためにポンプで空気を送るなどの処置を施したが、その後意識不明の状態で十日間が過ぎた。
そして今月六日午前四時、ジェームスちゃんは意識が戻らないまま帰らぬ人となった。息が止まる直前、ジェームスちゃんの身体が萎むように小さくなったので、胃の中の不要物をポンプで吸い取ったところ、血液が混入していた事から、血液が胃まで流れ込んでいたものとみられた。そこで輸血を試みたが、ジェームスちゃんの身体は全く輸血針受け付けなかった。既にジェームスちゃんの身体は全ての反応を失っており、その後間もなく息を引き取ったという。
両親をはじめ、親戚達は幼い命が奪われた事に嘆き悲しみ、とりわけ母親はショックから気絶してしまった。ジェームスちゃんの小さな遺体は、父親の運転するピックアップに乗せられてペッチャブーンへ戻された。
同日、市内チャーンプアッグ寺院では葬儀の準備が進められ、サムラーンラート学校の児童と先生達は深い悲しみに打ちひしがれた。
ジェームスちゃんの父親ルンペットさんは、マスコミのインタビューに応じ次のように語った。「息子の死は仕方のない事だと思いますが、胸にポッカリ穴があいたような悲しく虚しい気持ちです。学校側の責任については、自分も教師なので学校を責める気持ちはありません。なぜなら児童の数に対し、保母さんの数が極端に足りないため、ケアが行き届かないという状況を理解できるからです。とにかく、ジェームスの今回の件を教訓として、今後二度とこのような事故が起こらないよう十分注意を払ってほしいと願っております」
ルンペットさんの言葉からは、同じ教師という立場にある複雑な心境を読みとることができる。
一方母親のチェサダーさんからも、「息子が入院中に苦しんでいる時は本当に可哀想でした。でも今はジェームスが行ってしまった事は仕方がないという気持ちです」とタイ人の死生観がうかがえるようなコメントを得た。
その後ルンペットさんは、ジェームスちゃんの気管に詰まり、直接的死因となった異物を持って来て、マスコミに見せた。それは、プラスチック製の組立式キャラクター人形の一部分で、緑色の三角帽子のような形をした豆粒くらいの小さな物だった。そのためレントゲンにも写りにくく、発見が遅れたものと思われた。
プッタシナラート病院のリキット医師と小児科担当のサオン女医の二人は、ジェームスちゃんが十日間もの間意識不明だった原因を問われ、次のように語った。
「この病院に運ばれて来るまでに数時間が経過していたことが挙げられます。先月二十五日午後二時にジェームスちゃんがショックで意識を失ってから最初の病院に運ばれるまでに何十分もかかったとのことです。当病院に運ばれた時は既に脳まで空気が送られておらず、全身が黒く変色していました。ジェームスちゃんがその異物を何時、何処で口に入れたのかは誰も分かりません。恐らく、ジェームスちゃんがその異物を口に入れて舐めたのだと思いますが、通常はそのまま食道を通って胃に到達します。しかし、今回は運悪く何かの拍子に気管に入ってしまったのでしょう。そのため肺まで空気が入らなくなり、脳にも空気が行かなくなってしまいました。この場合、五分くらいで息が止まってしまうこともあります。しかし、場合によっては、脳が先に死んでも心臓に空気を送れば、しばらくは生きていることもあるのです。ジェームスちゃんはこのケースでした。脳に空気が行かなくなり、肺に流れる血液が感染症を併発し死に至りました。ジェームスちゃんの場合は今回助かったとしても、一生脳死状態だったでしょう。一才から三才の間の赤ちゃんは、そこらにある物を何でも口に入れる年頃なので両親をはじめ、保母さん達は細心の注意を払うようにして下さい。万一、赤ちゃんが異物を飲み込んでしまったら、うつ伏せに抱いて赤ちゃんがゲホゲホ咳き込むまで背中をポンポン叩いて下さい。そのうち異物が出てくるでしょう。もしくは、直ぐに病院で診察を受けてください」
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