パヤオからバンコクへ家族  丸ごと拉致飛行

プロの”借金取り立て屋”の人質となった夫を妻が警察に救出願い


 今月二日午前十時、パヤオ県出身のワッサナーさん(二五)と姉のスパットラーさん(三一)の二人がバンコク市内警察に駆け込み助けを求めた。

 内容は、自分達の持ち物を盗んだ上、ワッサナーさんの夫で香港籍の実業家ホーンコーン・ユーン氏(四四)を人質として拉致した犯人を逮捕してほしい、というものであった。

 先月二十七日、パヤオ県の自宅に家族全員が揃って居た時、突然タイ人四人、中国人二人の六人組の犯人が押し入って来た。

 男達は、「俺達は警察の者だ。ホーンコーンさんの一〇〇万バーツの借金を直ぐに払え!!」と言い、スパットラーさんの土地証明書二枚を取り上げた。その後、ホーンコーン氏の娘ワランヤーさんを含む家族全員を、強制的にランパン県の空港からバンコク行きの飛行機に乗せた。犯人の内二人は飛行機に同乗し終始監視していたという。残りの犯人は、車で後を追った。

 バンコクに到着すると、犯人達はアヌサオリー近くのパヤタイ・ビルの中にある〃一九九七法律探偵事務所〃という会社に拉致した一家を連れていき、スパットラーさんに土地証明書の名義変更のためのサインを無理矢理させた。その後、ファイ・クワーン辺りのパレッソ・ホテルの一室に一家全員を監禁した。

 翌朝、子供と女性だけは解放されたが、ホーンコーン氏一人は人質として残された。条件は、ワッサナーさん所有のピックアップの名義変更を要求するもので、万一、言うとおりにしなかった場合は、ホーンコーン氏の命は無い、と脅された。

 そこで、ワッサナーさんと姉のスパットラーさんは急いで警察に駆け込み、助けを求めた次第である。

 警察がこの事件の背景を調査した結果、犯人がホーンコーンさんを監禁している場所が発見された。 場所は、ファイクワーン区パチャラートバンペン通りソーイ・七にある住宅地〃スッパイサーン〃の中の家だった。

 同日午後五時頃、警察は拉致されたホーンコーン氏を無事救出することに成功。同時にラヨーン県出身のアコーン(三四)、香港籍のゴー(三四)、同じく香港籍のスイ(三二)の三人を逮捕した。

 所持品は、三〇万ユーゴスラビア通貨と七三万USドル、銃弾千個、手錠一セット、三メートルの鎖一本、そしてホンダの自動車一台。

 三人は警察の取り調べに対し、次のように自供した。

 「我々は、香港資本の会社〃一九九七法律探偵事務所〃に雇われ、負債者に返済を要求する仕事をしている。取り立ての方法としては、先ず自分達を警察官と名乗ることから始める。タイ人グループの中には本物の軍人もいるので、様々な手段を使って相手に脅しをかける。今回もホーンコーン氏が香港で携わっているパン屋の経営に失敗し、一〇〇万バーツの借金を抱えたため、同じ国籍のオーナーが設立したこの会社に依頼して借金の取り立てを迫った。」

 こういった方法の取り立てはタイの刑法に違反するものであるが、犯人達はそのことも恐れず任務を果たしていたとのことだ。


[BANGKOK SHUHO]

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