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片思い1年・・・報われない愛に終止符を 真面目な青年がピストルを振りかざし がいつしか拷問地獄に・・・・ 〃狂気の拉致魔〃に変わる時 今月十九日午前八時、バンコク都内トンロー警察は、「アソーク・ディンデーンにあるスリーナッカリン・タラウィロート・プラサミット大学内の科学部校舎十階で、一人の女子大生がピストルで脅され拉致されている」との通報を受けた。 事件が起きた場所は広い化学実験室内にある小部屋。その小部屋を囲うガラス窓はピストルで撃たれ粉々に砕けていた。部屋の前には学生と教授ら約十人が集まり、恐怖に震えていた。 同事件は理学部四年生で化学専攻の男子学生トゥラーコム(二一)が同じ四年生で化学専攻の女子学生ソンポーンさん(二一)をピストルで脅しながら二人で実験室の小部屋にろう城したというもの。 警察がソンポーンさん救出策を思案している最中、トゥラーコムを説得するために小部屋に入っていたスモンター教授が出てきて、トゥラーコムが警察に部屋から出て欲しいと言っている事、またピストルは手放す気持ちになっている事などを伝えた。 その後スモンター教授は再び小部屋に戻り、さらに二十分程話し合った結果、ようやくトゥラーコムはソンポーンさんを解放。泣きながら部屋から飛び出して来たソンポーンさんは、外で待っていた女性教師に思わず抱きついた。その様子から拉致されている間の恐怖感がひしひしと伝わって来た。 十分後、トゥラーコムはピストルをスモンター教授に渡したが部屋からはまだ出て来なかったため、友人二人が部屋に入り再び自首するよう説得。 その後、スモンター教授は肩を落としたトゥラーコムを抱きかかえるようにして部屋から出てきた。 トゥラーコムは白い長袖シャツにグレーの長ズボンを着用していたが、シャツは汗でビショビショに濡れていた。警察が出てきたトゥラーコムに手錠をはめ連行しようとした時、既に噂を聞いて駆け付けた報道陣が向けるカメラを学生達が遮るという場面も見られた。 トンロー警察に連行されたトゥラーコムを取り調べた後、警察はマスコミに対し「今回の事件は、トゥラーコムのソンポーンさんに対する一方的な愛が報われない事に絶望したために起きた」と発表。トゥラーコムは一年前からソンポーンさんに交際を迫っていたが、全く相手にされなかったという。 事件前、ソンポーンさんが実験している最中に突然トゥラーコムが押し入り、父親の部屋から持ち出したピストルを彼女に突きつけ小部屋に引っ張り込んだという。そしてそのピストルを小部屋の窓ガラスに向けて発砲した。「もし彼女に銃弾が当たったらどうなるか考えなかったのか」との警察の質問に対し、「ピストルの扱いは良く分かっているから」とふてぶてしく答えた。また「なぜこんな事を実行したのか」との問いには、「彼女に自分の事を愛して欲しかったからだ」と答えたという。 警察がピストル不法所持容疑で逮捕しようとしたところ、スモンター教授から「自分が保証人になるので釈放してほしい」との申し出たが、当局はトゥラーコムに精神異常の疑いがあるとし、検討する時間が必要であると伝えた。 事件解決後、トゥラーコムの父親でタクシー・ドライバーのブンイヤムさん(四七)がトンロー警察を訪れ、拳銃所持の許可書を提示しながら次のように語った。 「私には二人の子供が居り、トゥラーコムは長男で妹が一人います。息子はとても真面目な良い子で、学校の授業が終わると直ぐに家に帰り一生懸命本を読んでいます。あまり遊ぶことも無く、節約家で、半月九〇〇バーツのお小遣いを渡しているだけです。無口な性格で、今回の息子の起こした行動には信じ難い気持ちがしています。息子がその女性をいつ頃から好きになっていたのか全く分かりませんでした。息子はここまで勉強一筋できたのですから、これ以上もう悪い事はしないと思います」 同日午後三時、マスコミは、大学の学生業務課副課長であるヴィラワンさんが新たにトゥラーコムの保証人になったこと、そしてそれを警察が許可したことを発表した。 ヴィラワンさんはマスコミに、「女性の方では今回の事件に関してはもう気にしていないと言っていますが、この事件は刑事事件にあたるため、警察は再度彼を呼び出し詳しく調べる必要があると言っています。また、大学側では規則を破った理由で彼を退学処分にするかどうかを会議で検討する予定です」と伝えた。 警察では、被害者のソンポーンさんの気持ちが落ち着いた後、詳しく事情聴取する予定にしている。
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