楽しい親睦会であるはずの 「 ラップ・ノーン(新入生歓迎会)」 がいつしか拷問地獄に・・・・

十八才の新入生、先輩のしごきを受け脳内出血の重傷で死亡


新学期がスタートした六月は〃ラップ・ノーン(新入生歓迎会)〃の季節でもある。この恒例化した習慣は、本来〃先輩と後輩の親睦〃を目的としていた筈。しかし、最近はどんどんエスカレートし、先輩の折檻に耐えなければならないという、新入生にとってはまさに〃拷問地獄〃と化してしまったようだ。今年も、ラップ・ノーンに参加した新入生が死亡する、という悲しい事件が起きた。

 今月十日、タイラット紙の元にウドムさんという男性から「ラップ・ノーンに参加した息子が先輩から受けた折檻が原因で死亡した」事を訴える電話が入った。

 ウドムさんの話では、テクノロジー・ラーチャモンコン専門学校ウテーン・タワーイ・キャンパスに通う一年生の息子サッカリンさん(一八)が、一緒に新入生歓迎会に出かけた先輩から暴力を奮われ脳内出血の重傷を負って、運ばれたシリラート病院で死亡したとの事であった。

 死因は不明。サッカリンさんが通う専門学校は、今回の事件に関しての責任は一切請けないという。

 そこで、タイラット紙の記者は真実を調べるためにシリラート病院法医学病棟を訪ね、今回死亡したサッカリンさんの父親ウドムさんと母親のラミアットさんに会うことにした。

 二人は、息子を失った悲しみに泣き崩れ、真っ赤な目をして記者のインタビューに応じ、大切な家族の一員を突然失った喪失感について次のように語った。

 「私達一家はスパンブリー県に住み、子供は三人居ます。サッカリンは二番目の子で、スパンブリー商業高校を卒業した後、ウテーン・タワーイ・キャンパスの専門学校に進学しました。そして建築学科二年生の先輩と一緒に〃ラップ・ノーン〃のためにラーブリー県スアンプン郡にあるリゾートに出掛けたのです。参加者は先輩が三〇人、新入生が二十七人。三〇人の先輩の中には女子学生と卒業したOBも居たそうです。

 今月六日(土)の朝、学生達を乗せたバスは専門学校の前を出発しました。

 翌日の日曜日午前二時頃、バンコクに居る親戚から電話が有り、サッカリンが脳膜炎を起こし、病院に入院した事を伝えられました。朝五時頃私と妻が病院に到着した時に息子の名前をチェックしたところ、何故か〃ワーリン・ミースック〃という別名で登録されていたのですが、顔は確かに自分達の息子のサッカリンに間違いありませんでした。

 息子の顔は異常に腫れ上がり、大部屋のベッドの上で酸素吸入と点滴の治療を受けていました。尋常ではない息子の様子にビックリした私達は何人かの先輩に事情を聞こうとしましたが、彼らはまるで前もって準備されていたかのように全員から同じ答えが返ってきたのです。それは、〃サッカリンが六日の夕方突然引きつけの発作を起こした。その夜再びショック状態になった時、倒れた拍子に頭を地面に強く打ち付けた。先輩が直ぐに病院に運んだ〃という言葉でした。

 しかし、病院は土曜日の夜から日曜日の朝までの間は、脳外科専門医が不在のため一般の担当医が応急治療に当たったそうです。その時の担当医からは、〃脳にかなり強い衝撃を受けたらしく、体には既に反応が無かった〃と説明されました。私は息子を直ぐにでもシリラート病院に連れて行きたかったのですが出来ませんでした。何故なら、先輩達が息子のIDカードを取り上げて、病院には別な名前で登録していたからです。そこで私は親戚に住民票をファックスで送ってもらい、ようやく八日の昼頃息子をシリラート病院に移すことができたのです」

 そこまで話し終えると、ウドムさんの目からは涙がポロポロ溢れ出した。そしてさらに、話しを続けた。

 「息子の友達に聞いて見ましたが、誰も本当の事を話してくれません。〃先輩から無理矢理酒を飲まされた後、強く押し倒された〃としか言ってくれないのです。しかし、実際、脳に血が溜まっていたことから考えると、恐らく棒か何かで強く頭を叩かれたか、あるいは、腕や脚に傷跡が沢山あるので、胴上げされている最中にいきなり地面に落とされたのではないかと思っています。息子の掌は強く踏まれたように赤く腫れていました。また、胸には溶けたロウソクを垂らされたような赤い跡がありました。これらの傷について息子の友達に聞いたところ、それは先輩が後輩の我慢強さを試すために、点火したロウソクを後輩達の裸の胸の上に点々と落としたものであることが分かったのです。殆どの新入生の体に、この時の傷跡が見られました。

 新入生歓迎会に参加しない学生は、先輩達から仲間外れにされたり、友達からも村八分にされてしまうらしいです」

責任逃避の学校側、黙秘を通す学友達、やり場のなり怒りに涙で訴える被害者の父

 「私達にとって一番悲しい事は、ウテーン・タワーイ・キャンパスの学生活動課のソムヌック教員とR&Dのマヌン教員の二人から〃今回の事件に関して、学校側は一切無関係であるが、保険についてはなんとか面倒見てあげましょう〃と言われた事です。父親としては、学校側にしっかり責任を取って欲しいのです。もし、あなたの息子さんが誰かに殺されたとしたらどう感じますか?しかし、学校側は責任から逃避し、ただ葬儀には参列させてもらう、としか言ってくれません。今回の事件に関係した学生達を呼んで事実を調べる事もしてくれません。私は息子を殺したのが誰かということを知りたい!それが分かるまでは最後の最後まで闘うつもりです。

 このような新入生歓迎会という〃悪習〃はもう止めるべきです。子供達は勉強するために学校に行くのであって、こういう野蛮な行為をするために行くのではありません」と、ウドムさんは学校側の誠意のない態度と真実が葬られている事実に対し、怒りを露わにした。

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 タイラット紙記者がサッカリンさんの遺体を調べたところ、掌には赤いアザ、腕と脚には無数のミミズ腫れ、胸と背中には全面に火傷の跡が見られ、また後頭部には、脳に溜まった血液を取り除いた切開手術の跡が痛々しく残っていたという。  ウドムさんは、ラーブリー県スアンプン警察にこの事件に関する調査を依頼することにした。最愛の息子サッカリンさんの葬儀は、スパンブリー県ルアヤイ村のワット・ケー寺院で執り行われる予定だ。


[BANGKOK SHUHO]

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