小指に込めた村人の怒りと懇願---樹の上で書かれたチュアン首相宛 「血の抗議文」


今月八日午後一時頃、バンコク市内総理府前にチャイヤプーンからやって来た約三十名程の村人達が集会を開いた。 タイ農民銀行から、蚕の養殖プロジェクトに使用する予定で借りた資金に関する問題について、政府に救援対策を求めるためのデモであった。

集まった村人の中の一人スリンさんは、以前にも同じような集会に参加した経験があり、その時は「政府が我々の要求を聞き入れない場合は、我々は焼身自殺か首吊り自殺をするだろう」と抗議したという。

スリンさんは、今回の集会では、前日七日に「政府が我々の話を聞かない時には、小指を切って抗議する」と決意を表明した。

そして八日の午後一時半、スリンさんは総理府前の広場にそびえたつ大木に斧を持ってスルスルと登り始めた。そして登り終ると、上から大声で「今何時だ?!」と下に居る仲間達に聞いて来たので、下に集まった村人達はボウゼンと木の上に居るスリンさんを見上げていた。すると、皆が見ている中で、スリンさんは斧で自分の小指を切断。スリンさんの小指が下にいる仲間達の前にポトッと落ちてきた時、一同は余りの驚きで一瞬息を飲んだ。

その群集の中にはドゥシット警察の警察官も居たが、「まさか本当に小指を落とす事はないだろう」と思い込んでいたのでスリンさんの行動を止めなかったという。

その後スリンさんは、切断した小指跡から溢れ出る血液を持参のケースに溜め、溜まったその血を使って紙にチュアン首相宛の手紙をしたためた。手紙の内容は、次の通り。

「チュアン首相、今回の事は本当に申し訳ありません。しかし、我々は本当に困っているので、このような事を実行しなければなりませんでした。なぜなら政府の対応策が遅く、事態は深刻になるばかりです。一刻も早く解決してほしくて私は小指を落としました。」

この騒ぎを耳にしたドゥシット警察の上部警察官は自らスリンさんの元を訪ね、木の上にいるスリンさんに向かって、慎重にそして丁寧に「スリンさん、下に降りて来て下さいよォー」と声をかけた。

約三十分後、スリンさんはようやく木から降りて来たが、その時には指の出血もほぼ止まっていたという。

警察は急いでスリンさんを、仲間が拾い上げた小指と共に ラーマ・ティボディー病院に運び治療を受けさせた。



[BANGKOK SHUHO]

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